2013 Fiscal Year Research-status Report
準三次元計算と航空写真解析の併用による河道計画手法の高度化に関する研究
Project/Area Number |
24560618
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石川 忠晴 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (50159696)
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Keywords | 河道計画 / 準三次元水理計算 / 洪水航空写真 / 分合流 / 高水敷粗度 |
Research Abstract |
昨年度までに作成した準三次元モデルでは乱流粘性νを0方程式モデル(局所的水理量)で与えていた。今年度は乱流エネルギーの輸送方程式からνを計算できるモデルに改め、植生により低水路河岸付近で発生する乱れが高水敷と低水路の流れに及ぼす影響を、より合理的に表せるようにした。このモデルの精度は疑似植生を用いた既往の水路実験データで検証した。 昨年度開発している準三次元モデルでは、従来は地表粗度に含めていた大型植生を立体的抵抗体として表現している。そこで今年度は、利根川河川敷において樹木(カワヤナギ)を伐採し、抵抗体のパラメータを具体的に推定した。まず幹・枝の構造と葉の大きさと量を計測し、それぞれの鉛直分布について経験式を作成し、それから準三次元計算に代入する抵抗量と一次モーメントを計算した。また2009年撮影の平水時航空写真から推定された大型植生の形状を現地調査で確認した後、1980年撮影の平水時航空写真から当時の大型植生の形状を推定し準三次元計算に代入する諸量を決定した。 以上の準備の後に利根川・渡良瀬川合流点を含む河道区間について1981年洪水の再現計算を行った。低水路および堤防の法線を基準として格子作成ソフト(ANSIS ICEM CFD)により詳細な三角形格子を形成するルーチンを作成した。なお今年度は1辺約12mの詳細格子で計算を行った。その結果を、昨年度実施した洪水航空写真解析の結果と比較し、表面流況について良好な一致を得た。また樹木の立体構造によって特に低水路河岸付近の高水敷面で大きな流速偏倚が生じることがわかった。 なお、大型植生が流れにもたらす影響を具体的に調べるための小型水路実験を今年度予定していたが、水路と計測装置の制約のために、用意していた予算では困難であった。その代替として次年度に三次元数値実験を行うこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究申請時の計画とスケジュールは以下のとおりである。(1) 準三次元モデルの改良(H24)、(2)粗度係数推定方法の検討(H24~H25)、(3) 分合流を含む河道の計算と検証(H25~H26)、(4) 長区間の河道での計算(H25~H26)、(5) 一連の手法のとりまとめ(H26)。(1)に関して当初予定した内容は昨年度(H24)に完成していたが、今年度(H25)は乱流エネルギーをより合理的に取り扱うための新たなモデル式を追加した。また(2)は今年度概ね完成したが、大型植生周りの流れを具体的に調べるための小型水路実験ができなかったので、それを補完するために来年度(H26)に三次元流体運動シミュレーションを行う予定でいる。(3)は分合流のうち合流について検証計算を行ったが、分流についてはステレオ解析に適した良好な洪水航空写真が得られなかった。そこで大型模型実験のデータにより検証することとし、川内川分流工の模型実験画像データを入手した。この解析を来年度(H26)の早い時期に行う予定でいる。
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Strategy for Future Research Activity |
H26年度は研究の最終年度にあたる。「現在までの達成度」で述べたように、主要部分はスケジュールに従って進んでいる。H25にできなかった小型水理模型実験の代わりの三次元数値実験(項目(2):H24~H25)と、分流に関する検証計算(項目(3):H24~H26)をH26の前半に行い、遅れを取り戻せる見込みである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大型植生が流れにもたらす影響を具体的に調べるための小型水路実験を今年度予定していたが、水路と計測装置の制約のために、用意していた予算では困難であった。そこで、この予算(約300,000円)を次年度に繰り越し、三次元数値実験により同等の検討を行うこととした。また、分合流のうち分流に関する検証データを得るための鮮明な洪水航空写真が得られなかったので、その解析費用(約200,000円)を繰り越した。そこで次年度では画像データが得られている大型水理模型実験の条件で準三次元計算を行い検証する。 約300,000円を三次元数値実験のための人件費・謝金として計上する。また約200,000円を、分流工の大型水理模型実験で得られている画像および計測データの解析のための人件費・謝金として計上する。
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Research Products
(1 results)