2014 Fiscal Year Research-status Report
準三次元計算と航空写真解析の併用による河道計画手法の高度化に関する研究
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24560618
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
石川 忠晴 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (50159696)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 河道計画 / 準三次元計算 / 洪水航空写真 / 分合流 / 高水敷粗度 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、乱流エネルギーから渦粘性係数を同定する新たな準三次元方程式系を導出するとともに、マニング式による通常の地表面粗度と抗力係数による樹木群の立体粗度の組み合わせで流水抵抗を表現する新たな準三次元方程式系を導出した。また非構造三角形格子により複雑地形を表す新たな計算スキームを開発し、1981年利根川洪水の条件で1ケースだけ計算した。 そこで今年度は、まず計算条件に対するこのモデルの応答を詳しく調べた。すなわち高水敷のマニングの粗度係数(葦原、草地、樹木群の地表面粗度)を系統的に変化させ、粗度係数の曖昧さが流況推定に及ぼす影響を調べた。その結果、治水上問題となる低水路河岸を横切る流れに対する影響は少ないことがわかった。一方、樹木群の抵抗の変化は低水路河岸付近の流れの三次元性に比較的大きな影響を与えていた。このことから低水路河岸の安定性を議論するために本モデルを使用する場合には、樹木抵抗の評価を正確に行う必要が示された。 続いて、利根川と渡良瀬川の流量比(r)が異なることによる流況の変化について検討した。航空写真が撮影された1981年洪水ではr=0.28であったが、実際には1に近い場合もあり得る。そこでr=0、0.15、0.5、0.75、1.0の5段階について計算を行い比較した。その結果、渡良瀬川の流量割合が増大するにつれて、利根川右岸高水敷への主流の乗り上げと右岸堤防沿いへの流れの集中がより顕著になることが確認された。以上より、本研究で開発した準三次元水理計算モデルを河道計画において使用する場合の利点と注意点をまとめた。 以上の他に、昨年度までの研究成果を取りまとめて国際会議(River Basin Management 2015)に投稿し、Wessex Institute Press が発行する書籍への掲載が決まった。また土木学会年次学術講演会に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
良好な洪水航空写真を得られた合流部については当初の目的を概ね達成できたが、分流部についてはステレオ解析が行える洪水航空写真が入手できなかったので検討が遅れている。これについては仮想的条件での計算を平成27年度に行う予定でいる。また当初は平成26年度に予定していた学会発表(国際、国内)が、取りまとめの関係で平成27年度にずれ込んでいる。ただし上述のように2つの投稿原稿は採択されている。また追加計算については平成27年度に水工学論文集に投稿予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に上述した追加計算を終え、準三次元水理計算モデルと航空写真解析を河道計画において使用する上での留意点を取りまとめる。また国際学会および国内学会での成果発表を行う。
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Causes of Carryover |
研究成果を国内学会・国際会議で公表する経費を最終年度に計上していたが、申し込み(論文ないし概要提出)および原稿審査を経て発表に至るまで時間がかかるので、実際の経理作業は当初研究期間内(3年)に終えられなかった。またこの機会を利用して分流計算を充実するために研究計画を一部変更した。なお国際会議原稿は既に採択されており、出張旅程も確定している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
登録済みの国際会議(スペイン)のための出張旅費380,000円、登録済みの国内学会発表(岡山)のための参加費・出張旅費80,000円、追加計算のための作業謝金260,000円および国内学会発表のための投稿代・出張旅費40,000円を予定している。
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