2013 Fiscal Year Research-status Report
リモートセンシングによる自然災害後の濁水がサンゴ礁・藻場に与える影響調査手法開発
Project/Area Number |
24560623
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
作野 裕司 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20332801)
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Keywords | リモートセンシング / 人工衛星 / サンゴ礁 / 土砂 / SS / 無人ヘリ / GOCI / GOSAT |
Research Abstract |
1年目に行った現地調査に基づき,LCI手法の代替法として上空からリモートセンシングにより,サンゴ礁上の土砂に相当する色の再現を行う手法を開発した.この成果は,当該年度の土木学会論文集B2(海岸工学)で公表した.論文では底質の反射を考慮した生物光学モデルを利用して,奄美大島のサンゴ礁の海色を再現する手法について議論された.その結果,4種類の条件下でモデルと実測値を比較すると絶対値は異なるが,R2=0.80以上の高い相関が得られた.また,CIE色度理論を利用して,生物光学アルゴリズムから得られるサンゴ礁上の水深,SSを変化させた場合の海色を再現した.水色は水深を変化させた場合に大きく変化する.一方,SSを変化させた場合,水色変化は相対的に小さく,明度によく依存することが確かめられた.以上の結果から,実用上はサンゴの種類・水深が既知の場所において,目視検査,監視カメラや人工衛星等の画像から抽出される表面の水色情報をxyY表色系に変換することにより,水色変化情報を定量的かつ可視化して表わすシステムに利用できることが分かった.一方,当初予定していた「簡易空撮用気球による流向流速分布推定」は想定していた気球のプラットフォームの安定性が悪く,GCP(地上基準点)の設定が難しかったため,断念した.その代替案として,新たに無人ヘリを導入し,また静止衛星「GOCI」を使った濁質(土砂由来)の流動特性抽出について検討を行った.無人ヘリとGOCIの研究については,奄美大島での繰り返し実験は予算上難しかったため,島根県の宍道湖における水質分布変化抽出技術について検討を行った.さらに,1年目に動作テストのみしか行えなかったサンフォトメータによるエアロゾル観測については,東広島市で常時監視を行い,衛星「GOSAT」から比較的簡単に海域(当該年度は瀬戸内海で試行)のオングストローム指数を推定する手法を検証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である「最新のリモートセンシング技術を駆使してサンゴ礁・藻場上の土砂堆積量や流れの分布を確実にモニタリングするための技術開発」に関して,「気球を使った流れの分布」に関しては,その不確実性から研究の変更等がありサンゴ礁域での検証ではできなかったが,別の水域で手法論を開発し,複数の論文等にも公表しているため,概ね順調に進展している.「気球を使った流れの分布」に関しては,新たに無人ヘリや静止衛星の利用等,最新のリモートセンシング技術に変更して,目的の実現に近づいている.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度であるため,これまでの研究でまだ十分実現できていない課題について再検討し,本研究のまとめを行う.これまでの研究において,「最新のリモートセンシング技術を駆使してサンゴ礁・藻場上の土砂堆積量推定」に関しては,土砂量までとはいかないがSSまたは濁度分布についてはほぼ達成している.そこで次年度は特に2年目の方針変更により,「無人ヘリや静止衛星を利用した流れの分布」について重点的に行う.特に2年目までに取得した複数時間の無人ヘリや静止衛星の画像データを使って,濁質の動きを検出するアルゴリズムを開発する.
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Research Products
(8 results)