2013 Fiscal Year Research-status Report
空気混入流の水理特性に基づく階段状水路水理設計法の開発
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24560628
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
高橋 正行 日本大学, 理工学部, 准教授 (10318363)
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Keywords | 階段状水路 / 空気混入水流 / エネルギー損失 / skimming flow / 比エネルギー / 水理構造物 |
Research Abstract |
急傾斜地の水路や堰・ダムを流下する高速流を傾斜面上で減勢させる方法として階段状水路の利用は有効である.階段状水路で大流量のときに生じるskimming flowでは,水路に流入した流れは,平坦水路床の傾斜水路よりも短い流下距離で水面から空気が混入しはじめる.この位置をinception point(空気混入開始断面)と呼び,その下流側では空気混入流となる.この空気混入流は不等流区間を経て,各ステップごとの水深と流速が同じ大きさになる擬似等流状態となる.階段状水路の水工設計のためには,不等流区間ならびに擬似等流区間の空気混入流特性(空気混入流の水深,流速,比エネルギー)を知ることが重要である.擬似等流区間の空気混入流特性については平成24年度のJournal of Hydraulic Research [50(4),427-434]で明らかにした.平成25年度は,フィルダムなどで多く用いられる水路傾斜角度θ=19°を対象に,相対ステップ高さS/dc=0.7と0.9(Sはステップ高さ,dcは限界水深)のskimming flowについて,研究代表者が開発した解析的に空気混入不等流の水面形を求める方法[土木学会論文集B1(水工学)69(4), I_913-I_918]を適用し,実験で得られた水深の測定値との比較・検討を行い,その解析法の妥当性を確かめた.また,θ=19°の空気混入不等流区間の空気混入率分布式および流速分布式を明確にした.これによって,θ=19°のS/dc=0.7~0.9での空気混入不等流の空気混入率,空気混入流の流速,空気混入流水深,および比エネルギーなどの特性量が解析的に算定可能になった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者は空気混入流の水面形計算法の開発を試み,平成23年度に空気混入流の水面形方程式の導出に成功した[Journal of Hydraulic Research,49(3),404-407].しかしながら,水面形を解析的に求めるために必要な空気混入率の大きさと分布については解析的に求めることができなかった.本研究課題において,平成24年度に気相の連続式と気泡の拡散モデルを用いて空気混入不等流の空気混入率の大きさと分布を求める方法を階段状水路に適用し,その方法の妥当性を水路傾斜角度θ=55°の実験によって確かめることに成功した[土木学会論文集B1(水工学),69(4), I_913-I_918].これによって,空気混入水流の水面形と空気混入率の分布と大きさを解析的に求めることが可能になった.本年度は,研究実施計画にしたがい,水路傾斜角度θ=19°,相対ステップ高さS/dc=0.7と0.9の階段状水路における空気混入率と流速を計測し,空気混入不等流の水理特性を明らかにした.その結果,研究代表者が開発した空気混入不等流の水面形および空気混入率の分布と大きさの解析方法[土木学会論文集B1(水工学)69(4), I_913-I_918]がθ=19°のS/dc=0.7~0.9においても適用可能であることを確かめることができた.すなわち,S/dc≧0.7のskimming flowの場合,広範囲な水路傾斜角度θ=19°~55°に対して,研究代表者が提案している空気混入不等流の水面形を解析的に求める方法が適用できることを明らかにした.
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Strategy for Future Research Activity |
水路傾斜角度θ=19°のとき,相対ステップ高さS/dc<0.7の空気混入流の水理特性(水深,流速,比エネルギー)が不明である.すなわち,相対ステップ高さS/dcが空気混入流の水理特性におよぼす影響について明らかにする必要がある.これにともない,θ=19°の既設の階段状水路模型を利用して,系統的に相対ステップ高さを変化させる実験を実施し,相対ステップ高さS/dcが空気混入流特性に与える影響を解明する予定である.また,空気混入不等流区間の水面形を解析的に求めるためには,境界条件としてinception pointの位置とその水理特性を知る必要があり,nonaerated skimming flowの区間の水理特性についても明らかにする予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
水理模型実験補助およびデータ解析補助としてH26年3月分の謝金等としての使用を予定していた.しかしながら,3月分の人件費の支出は,本学の事務手続き上,4月に行われるためH26年度分の謝金等としての支出になるとのことであった.そのため,H25年3月分の謝金等として予定していた使用額はH26年度使用額として生じた. H25年3月に水理模型実験補助およびデータ解析補助を行った学生への謝金等としてH26年4月に支出する計画である.
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Research Products
(5 results)