2013 Fiscal Year Research-status Report
水流による軟岩の浸食機構の解明とその実河川への応用に関する研究
Project/Area Number |
24560629
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
関根 正人 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (60187854)
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Keywords | 水理学 / 河川工学 / 移動床水理学 / 粘着性土の浸食 / 軟岩 / 河床変動 |
Research Abstract |
近年,実河川の河床に固結化した粘着性土(あるいは堆積軟岩)が露出するようになりました.本研究では,このような特異な河床材料が水流ならびに流送砂礫の作用によって浸食されていくメカニズムを探るとともに,その浸食速度自体を推定可能とすることを目的としています.このため,2013年度には次のような検討を行いました. 堆積軟岩の浸食が顕著になってきた鬼怒川の実態を把握するため,下館河川事務所とともに現地調査を行いました.また,現地材料を不攪乱状態で採取し,これを供試体とした土質試験を行い,材料の土質力学特性について検討しました.次に,このような材料が水流ならびに流送砂礫の影響を受けて浸食されていくメカニズムを探るための移動床水理実験を行いました.この実験時には,上流側から砂礫を供給しながら通水を行うことが必要になります.そのため,前年度まで用いてきた大型の開水路における実験に加えて,連続給砂が可能なアクリル性矩形断面閉水路を新たに設計・製作し,この水路において給砂量を制御しながらの一連の実験を行いました. 2013年度までの実験的な検討は,粘土として一般的なカオリンを対象としたものに止まっていますが,水流のみによる浸食現象とは明らかに異なる興味深い結果が得られました.たとえば,単位時間当たりに浸食される粘土の体積 (これを「浸食速度」と呼ぶ) は,供給される砂礫の量(給砂量)の大小の影響を顕著に受け,給砂量がある値の時に極大値をとるような特性を有するというものです.この点についてはこれまでにも示唆されてきましたが,一連の基礎的な実験を通じてこれが明確に説明されたことは今後に向けて価値あるものと考えております.また,このような実験と並行して,粘着性土からなる裸地斜面の表面浸食に関わる実験的検討もあわせて行ってほか,この現象を数値解析により予測する手法の開発も進めてきました.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実河川で採取した材料を対象にした移動床水理実験に多少の遅れがあるものの,ほぼ計画通りに検討を進めることができており,最終年度である次年度末には所定の成果が得られるものと考えております.
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Strategy for Future Research Activity |
変更すべき点や問題点は特に認められません.次年度が最終年度であることから若干の計画変更は必要ですが,計画通りに研究を進めていくことにより,当初の目的が達成できるものと考えています.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
基礎的な水路実験に用いる粘土ならびに砂礫の材料をさらに購入することを考えていました.しかし,保管スペースに限りがあることや,研究全体を遂行する上で,この実験の一部を次年度に延期することが望ましいと判断するに到ったこと,などの理由から,費用の一部を次年度に繰り越すことに致しました. 次年度の研究を進めていく中でこの分の費用を適切に支出していきます.
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