2013 Fiscal Year Research-status Report
ダム下流の礫床河川への置き土供給による河床上昇と流路変動に関する研究
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24560631
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Research Institution | Maizuru National College of Technology |
Principal Investigator |
三輪 浩 舞鶴工業高等専門学校, 建設システム工学科, 教授 (70190832)
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Keywords | アーマーコート / 細砂 / 粗礫 / 移動限界 / 置き土 / 侵食・流送 |
Research Abstract |
ダム下流では,河床低下や流路の固定化等が進行している.これらを改善するため,本研究は,河床上昇と流路変動に及ぼす置き土の効果的な運用方法の検討を目指している.本年度は,置き土の侵食効率に及ぼす置き土の設置形態(形状と質),粗礫の移動限界に及ぼす細砂の効果(昨年度からの継続),および細砂供給による粗礫の移動とアーマーコートの破壊等について検討を行った.得られた主要な結果を以下に要約する. 1.置き土の体積と高さが同一であれば,水路横断面の投影面積(置き土の幅)が大きい方が置き土の侵食効率は高く,また,平均粒径が同一であれば,混合砂礫の方が侵食速度は早い. 2.侵食土砂の横断方向の流送量は置き土の設置側に偏った分布を示し,置き土の平面形状にかかわらず,側岸から水路幅の2~4割の位置にピークがある.単位時間当たりの流送土砂量は,置き土幅が大きいほど通水初期に大きな値を示すが,一定時間経過後はその差はほとんど現れない. 3.粗礫層に細砂が混入すると,細砂含有率が0.4程度まではその増加に応じて砂礫の限界掃流力は低下するが,これを越えると限界掃流力は増加する.前者は粗礫による骨格構造の間隙を細砂が埋めることで摩擦角が減少するためであり,後者は細砂量の増加に伴う粗礫量の減少と,これによって河床の基盤構造が粗礫の骨格ベースから細砂基質に変容するためである.なお,限界掃流力の変化傾向は粗礫と細砂の粒径比が大きくなると顕著になる. 4.3の結果は粗礫と細砂の混合砂礫を対象としたもので,粗礫層への細砂供給とは必ずしも同一ではない。このため,アーマーコートへの細砂の供給によっても粗礫が移動しやすくなることを実験的に確認した.また,細砂の供給を停止すると粗礫の移動量は激増することも分かった.なお,細砂の供給は,現地では細砂を置き土することに相当し,侵食・流送を制御することによって,粗礫の移動が可能となる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細砂混入による粗礫の移動限界については,今年度追加実験を実施して完了することができた.固定化した流路での置き土の侵食効率に及ぼす設置形態についてはおおむね当初の目的を達成することができた.ただし,水流特性に関する情報の必要性が判明し,これについては平成26年度に追加実験を実施することとした。また,細砂供給による粗礫の移動とアーマーコートの破壊については,予備的な要素実験の必要性から平成26年度分の前倒しで実施したものであるが,所要の成果を得ることができた. 固定化した流路での置き土による河床上昇効果については,置き土の侵食効率に関する追加実験を先に実施する必要があり,平成26年度実施することとしている.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,上記の追加実験を実施する.その後,固定化した流路での河床上昇効果に関する実験とシミュレーションに着手する.細砂供給による粗礫の移動と流路変動については,今年度の要素実験の結果を基に,本実験を実施する.最後に,置き土の効果的な運用方法について考察する.
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Research Products
(3 results)