2014 Fiscal Year Research-status Report
ダム下流の礫床河川への置き土供給による河床上昇と流路変動に関する研究
Project/Area Number |
24560631
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Research Institution | Maizuru National College of Technology |
Principal Investigator |
三輪 浩 舞鶴工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (70190832)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アーマーコート / 粗礫,細砂 / 置き土 / 流路変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
ダム下流河川では,土砂移動の不連続が河床低下やアーマーコート化を引き起こし,流路の固定化に繋がるなどの例がある.これらの改善策を検討するため,本研究では置き土による河床上昇と流路変動効果とその運用方法の検討を目指している.本年度は細砂供給による粗礫の移動とアーマーコートの破壊(継続),置き土による河床上昇効果,PIV法による置き土の侵食・流送に伴う水流特性の検討を実施した.また,現地河川での適用を考慮して粗礫層への細砂供給を置き土によって行い,アーマーコートの破壊と土砂流出について検討した.得られた主要な結果を以下に要約する. 1.アーマーコートへの細砂供給によって粗礫は移動しやすくなり,アーマーコートを破壊することできる.なお,細砂供給量と粗礫の移動量には流量を介して相関関係があり,小流量では細砂供給量の増加とともに粗礫の移動量は増加するが,大流量では逆の傾向を示す.したがって,これらの交点を与える細砂供給量がこの流量範囲での最適供給量であると判断できる. 2.固定化した流路での置き土によってその下流部で河床が上昇する.なお,蛇行水みちでは流れの遅い場所に設置した置き土の方が上昇効果は大きい.また,平均粒径が同一の場合,混合砂よりも一様砂の方が河床上昇効果は大きい. 3.置き土の侵食・流送過程では,水路幅に対する置き土の幅が大きい方が流水の集中が顕著で,これが置き土の侵食速度に影響している.ただし,この効果は主として侵食初期に見られ,侵食の進行に伴って低下する. 4.置き土によって細砂供給された粗礫層は,細砂供されない場合に比べて粗礫の移動量は増大する.また,アーマーコートのように下層に細砂が存在する場合,同一流量でも粗礫の移動量はさらに増加する.これは,供給した細砂は流下してしまうが,粗礫の移動に伴って下層の細砂が新たに粗礫の減摩効果(摩擦角の減少)を発揮するためである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
細砂混入による粗礫の移動限界,固定化した流路での置き土による河床上昇効果についても所要の成果を得ることができた.また,細砂供給による粗礫の移動とアーマーコートの破壊については,当初の目的を達成している.置き土の侵食効率に及ぼす設置形態についてもおおむね当初の目的を達成することができている.ただし,置き土の侵食・流送に伴う水流特性の検討実験において,画像データ解析ソフトの不具合によって解析が大幅に遅れた.このため,その後に予定していた流路変動に関する実験を予定通りに実施することができず,当初の目的を達成することができなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
流路変動に関する実験を実施する.また,水流特性の研究成果をまとめるとともに,置き土の効果的な運用方法について考察する.
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Causes of Carryover |
平成26年度に実施した置き土の侵食・流送に伴う水流特性の検討実験において,画像データの解析ソフトの不具合によって解析が大幅に遅れた。このため,その後に予定していた流路変動に関する実験を予定通りに実施することができず,実験補助経費に未使用額が生じた。これに伴って,水流特性および流路変動に関する研究成果を発表することができず,このための経費にも未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
流路変動に関する実験を実施する.また,水流特性の研究成果をまとめるとともに,得られた成果を発表する.未使用額はこれらの経費に充てる予定である.
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Research Products
(2 results)