2013 Fiscal Year Research-status Report
欧米諸国における港湾の経営形態の変革とロジスティクス戦略に及ぼす影響の分析
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24560638
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
井上 聰史 政策研究大学院大学, 政策研究科, 客員教授 (20625206)
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Keywords | 港湾経営 / サプライチェーン・マネジメント / ロジスティクス戦略 / 公企業化 / 欧州、北米 / 国際比較 |
Research Abstract |
グローバル化の進展によりサプライチェーンの時代が到来し、港湾の役割は伝統的な海陸の結節点から広域的なロジスティクス・ハブづくりへと拡大しつつある。本研究は欧州と米国における港湾の多様なロジスティクス戦略とそれが港湾経営に及ぼす影響や経営形態との相互関係を明らかにするものである。 平成25年度は、研究の2年目として欧米主要港湾におけるロジスティクス戦略について比較分析を行い、その特徴や課題を明らかにした。またフランスのルアーブル港とマルセーユ港において現地調査を行い、とくにセーヌ河、ローヌ河沿いの内陸港湾と連携した両海港のロジスティクス戦略の実態を分析した。 主要港湾が進めているロジスティクス戦略は、大別すると「ロジスティクス・パーク戦略」と「ロジスティクス回廊戦略」から成る。港湾に幅広いロジスティクス産業の集積を図るロジスティクス・パーク戦略は、欧州では港湾管理者が中心となり大規模な団地型の開発が主流であるが、米国では民間事業者が中心となり分散的な開発が中心である。背後圏へのアクセスを強化するロジスティクス回廊戦略は、欧州も米国もともに鉄道を主体とした取り組みが活発である。ただ欧州の港湾管理者が背後圏での内陸ターミナル開発を積極的に進めるのに対し、米国では港湾管理者が州を越えてターミナル展開することは皆無に等しい。 伝統的な港湾をこうした広域的なロジスティクス・ハブに脱皮、発展させるためには、港湾管理者の果たすべき新たな役割が極めて重要であることが明らかになった。即ち地域における港湾社会のコーディネーター役であり、同時に港湾の領域を越えた広域的なロジスティクス・システム形成の主導者となることである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の2年目として、申請した研究計画に沿って概ね順調に研究を進めることが出来た。これまでの中間的な成果として、欧米主要港湾のロジスティクス戦略について国際比較を行い、その特徴と課題さらに港湾経営に対する影響について考察をとりまとめた。平成26年度中に政策研究大学院大学のDiscussion Paperとして発表する。 また現地踏査についても、フランス港湾協会の協力のもと、ルアーブル港、ルーアン港、パリ港、またマルセーユ港、リヨン港を訪問し、現地調査を実施することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は最終年であり、申請した研究計画に基づき北米と欧州の主要港湾を中心にさらに実態調査と分析を進める予定である。また、これまでの成果に基づき、世界のコンテナ港湾のロジスティクス戦略の構造的な特徴をとりまとめるとともに、港湾経営への影響や経営形態との相互関係を分析し明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
欧州港湾についての実態調査は実施できたが、予定していた北米港湾の現地調査については日程の都合がつかず実施できなかったため、未使用額が発生した。 次年度は最終年度でもあり、他の業務との時間調整を計画的に行い、海外港湾の実態調査を実施する。この遅れによる研究計画全体への影響はない。
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