2014 Fiscal Year Research-status Report
欧米諸国における港湾の経営形態の変革とロジスティクス戦略に及ぼす影響の分析
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24560638
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
井上 聰史 政策研究大学院大学, 政策研究科, 客員教授 (20625206)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 港湾経営 / サプライチェーン・マネジメント / ロジスティクス戦略 / 公企業化 / 欧州、北米 / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
グローバル化の進展によりサプライチェーンの時代が到来し、港湾の役割は伝統的な海陸の結節点から広域的なロジスティクス・ハブへと拡大しつつある。本研究は欧州と米国における港湾の経営形態の変革と多様なロジスティクス戦略の展開を分析するとともに、経営形態がロジスティクス戦略に及ぼす影響や課題について明らかにする。 平成26年度は、研究の3年目として米国の主要港湾の経営体制の変遷とロジスティクス戦略について分析した。米国の港湾制度は州毎に異なるため、特徴のあるニューヨーク・ニュージャージー港、ノーフォーク港、サバンナ港、ヒューストン港、ロサンゼルス港、シアトル港などを事例分析の対象とした。全国的なポートオーソリティの設立は20世紀に入ってからの現象であり、その後は大きな制度的変革のないことが明らかとなった。ポートオーソリティとしての港湾の公企業経営が今日までの国際ロジスティクスの構造的な変化に柔軟に対応できた所以であろう。 一方、米国の主要港湾が進めているロジスティクス戦略は、欧州と同様に「ロジスティクス・パーク戦略」と「ロジスティクス回廊戦略」から成る。しかし米国におけるロジスティクス・パークの開発は一部の例外を除き民間事業者によるものが中心であり、一団地型よりも分散型の開発が主流である。また背後圏へのアクセスを強化するロジスティクス回廊戦略は、鉄道事業者や他の輸送事業者と一体となった取り組みが活発である。米国においては港湾管理者が州を越えて投資することは政治的に難しく、事例が見られない。この分野においても民間事業者に多くを依っている。その連携がこれからの港湾経営の鍵となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
欧州と米国の主要港湾におけるロジスティクス戦略の実態については、当初の研究計画に沿って、概ね明らかにすることができた。経営形態の実態や変革についても、欧州北部のハンザ型と呼ばれる主要港や米国については分析が相当に進んだ。ただ欧州のラテン型と云われるフランスとスペインについて、情報や資料の制約もあり、実態把握と分析がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
新年度には、早急にスペインを中心に現地を訪れ、関係機関の協力を得ながら調査を実施するとともに、本研究の最終的な取りまとめを行う計画である。
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Causes of Carryover |
欧州の港湾の実態調査のためスペインに出張する計画であったが、国家港湾庁及びバルセナ港湾公社と当方との都合が折り合わず年度内の実施が困難となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年3月24日付で平成27年度までの補助事業期間延長承認を得た。既にスペインの各機関とは4~5月中の調査訪問について了承を得ており、現地での調査を確実に実施することができる。 また本研究の取り纏めに必要な文献、資料の追加確保についても目途が立っている。このため次年度には、問題なく研究計画を遂行することができる。
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