2013 Fiscal Year Research-status Report
高速道路における動的かつ能動的な交通流マネジメント手法に関する研究
Project/Area Number |
24560640
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
塩見 康博 立命館大学, 理工学部, 講師 (40422993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 浩気 京都大学, 工学研究科, 助教 (60612455)
宇野 伸宏 京都大学, 経営学研究科, 准教授 (80232883)
嶋本 寛 宮崎大学, 工学部, 准教授 (90464304)
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Keywords | 多車線交通流モデル / 交通シミュレーション / フィードバック型交通状態推定 / 車線交通量 / ATM / 動的車線マネジメント |
Research Abstract |
今年度は,1. 昨年度構築した多車線交通流モデルの改良・改善,2. EKFを用いたオンライン交通状態推定手法の適用事例の拡充,を中心に取り組んだ.1. に関して,本研究で構築している多車線交通流モデルは,車線選択に関わるコスト関数を車線毎のFundamental Diagramとの関係で定義し,車線選択確率に基づく車線変更を繰り返すことで交通状態が車線交通量均衡状態へと向うメカニズムを採用している.本モデルで用いるパラメータは,Fundamental Diagramについては自由走行速度,臨界密度,臨界速度,限界速度の4つ,コスト関数については定数項,および旅行時間に対する感度パラメータの2つである.今年度は,これらの未知パラメータを,すでの多く敷設されている車両感知器から収集されるデータを用いてキャリブレートする方法を構築した.具体的には,交通密度―車線利用率曲線の推定値と観測値の残差二乗和を最小化する問題としてパラメータ推定問題を定式化し,準ニュートン法を適用してパラメータを推定することに成功した.サグを含む4つの地点に対して車線別のパラメータを推定した結果,下り勾配区間では第2走行車線に交通がシフトし,そしてサグ底から上り勾配に掛けては追越車線にシフトするパラメータ構造となっていることが明らかとなった.2. については,名神高速道路下り線,高槻BS付近のサグを対象に,10件の事故発生時の交通状況に本手法を適用し,オンラインでモデルパラメータの遷移状況をモニタリングした.その結果,必ずしも交通事故発生時には一定の変動傾向が出現する訳ではないものの,事故発生時特有の変動傾向が散見されることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本来,1年間で終了する予定であった多車線交通流モデルとオンライン交通状態推定システムの開発に時間を要しており,ドライビングシミュレーターを用いた実験と連動する段階までは到達できていない.この点においてはやや遅れているともいえるが,多車線交通流モデルの開発は本研究において極めて重要であり,かつ,研究を進めるにつれて新たな視点での解析の可能性が明らかとなってきている.これらの点には着実に対応して研究を進められており,おおむね順調であると認識している.
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画ではドライビングシミュレータ(DS)を用いて,本多車線交通流モデルで評価可能な施策に関するドライバーの反応を把握する実験を予定していたところであるが,現時点ではそれぞれパラレルで進められており,必ずしも連動しているとは言えない状況である.今後は,どちらかというと多車線交通流モデルの開発に注力し,動的車線マネジメントに関わる具体的な施策提案,およびその評価を可能としたいと考えている.その中で,これまでに実施してきたDS実験の結果が反映される予定である.
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