2012 Fiscal Year Research-status Report
疲弊する地方生活圏における暮らしやすさ確保のための社会基盤システムの効果的整備
Project/Area Number |
24560642
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
福山 敬 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30273882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羅 貞一 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20612617)
安藤 朝夫 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (80159524)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 地方都市 / サービス水準 / フードデザート / 買物難民 / GIS / 都市経済モデル / 商業競争 |
Research Abstract |
理論的検討をするためのモデルを構築する準備として,都市モデルおよび商業競争・商圏分割について研究レビューを行った.また,本研究が対象とする都市空間内外での生活サービスの需給のミスマッチを把握・分析できるモデルを構築するために,まず,申請者が既に構築した2 企業商業競争都市モデル(Fukuyama, 2011)やコンビニ出店モデル(福山, 2005),研究協力者の1 企業モデル(Lai and Tsai, 2008)を基礎とした都市内モデルの開発を行った.開発した3つの都市モデルは,①中心市街地商店と郊外商店の競争,②居住アメニティ,③宅配サービスのそれぞれを考慮したモデルであり,③以外は商業競争(価格・立地)と住宅立地が同時に内生的に決定する.特に,郊外大型店と都市住宅地内立地小売店間の価格/立地競争をモデル化した①では,中心地商店の衰退のメカニズムを,道路整備や自家用車保有率の上昇をはじめとする「交通技術の変化」等により説明できるモデルを構築した.また,これと並行して,生活サービス需要/供給に関する空間地理情報システム(GIS)の構築も行った.生活サービスの代表である買い物サービスの需給のミスマッチの現状を把握・分析できる空間地理情報システム(GIS)の構築を開始し,鳥取県を対象に,当該権県を東部,中部,西部の3地域に分けてそれぞれの買い物サービス水準を表現し,一部サービス水準を評価した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では,1.都市モデルおよび商業競争・商圏分析に関する研究レビュー2.既構築の2 企業競争モデルの拡張,3.生活サービス需要/供給に関する空間地理情報システム(GIS)の構築,4.都市・周辺地域モデルの構築(および鳥取因幡定住圏生活サービスGIS の構築)を挙げていたが,これら4つの研究のすべてに着手でき,おおむね予定段階までの研究進捗をみることができた.特に,1.では,当初考えていた都市内と郊外の商業競争モデルに加えて,「宅配サービス」や「居住アメニティ」を考慮したとしない商業競争モデルの開発と分析も行うことができた.また,3.および4.のGISの開発では,買い物サービスに関して基本データの収集と入力,可視化の段階まで進むことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に引き続き地域理論モデルの開発および分析を行う.また,生活サービスGISに鳥取県データを実装し分析評価を開始し,最終年度(平成26年度)には政策提言を含んだとりまとめをする.まず,鳥取県東部地域データによるGISの実装を行う.鳥取県および県東部市町の協力ものと,開発する生活サービスGISに鳥取県東部地域の居住者および商業や交通等サービスデータ情報を実装する.担当は福山(研究代表者)とともに主に羅が行う.また,鳥取県東部データにより実装された生活GISを用いて,鳥取県東部地域の各地点について生活しやすさの基本的な評価を試みる.その際,生活サービスの需給のミスマッチに大きく依存して決まるサービス水準を表現できる「生活サービス水準指標」を定義する.また,生活サービス需給のミスマッチのパターンを交通・通信・配達・立地・移住などの対策の代替案を意識して定義し,地域分類を行い地域特性を明らかにする.担当は主に研究代表者・福山が行う.さらに,上記で構築した地域モデルおよび生活サービスGISを用いて政策の事前評価および既実施の施策の事後評価を行う.モデルによる評価には,比較静学分析およびシミュレーション分析を用いる.特に以下の点を中心に生活サービス需給ミスマッチを通じた地域住民厚生の変化を分析する.A. 供給サイドの変化の影響: 商業競争の変化(特に,商店の規模・数や技術の変化).B. 需要の質的・量的変化: 人口分布や通勤者比率など住民サイドの変化.C. 都市道路整備: 都市内外交通網の整備ならびに都市郊外幹線道路整備,D. 移動販売や配達など供給サイドの変化.一方,GISによる評価でも基本的に上記A~Dの視点から分析を行うが,鳥取県東部の各集落単位での評価を行う予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
共同研究者間の研究打ち合わせ1回が,本年度中に実施できなかったため,これを次年度実施に変更した.それ以外に研究費の使用計画は当初予定と大きな変更はない.
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Research Products
(7 results)