2013 Fiscal Year Research-status Report
水害リスク指標VaRに基づく土地利用規制・誘導政策の実行可能性に関する研究
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24560645
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
柿本 竜治 熊本大学, 自然科学研究科, 教授 (00253716)
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Keywords | 水害リスクカーブ / 流域管理的治水 / 洪水ハザードマップ / 土地利用規制 / 災害時の避難 |
Research Abstract |
九州北部豪雨の際,熊本市内で浸水被害の激しかった熊本市の龍田地区を対象に避難行動実態調査を実施し,自律的避難を促進させる要因について分析した.避難行動に影響を与えた要因として,統計的観点から,河川状況の確認,避難の呼び掛け,防災グッズを用意,避難訓練への参加,近所付き合い,近所の面識およびまちづくり活動への参加が挙げられた.これらを説明変数の候補として,避難するか・しないかを決定する避難行動モデルを推定した.その結果,自律的避難を促進する要因として,河川状況の確認と避難の呼び掛けが挙げられた.一方で,洪水ハザードマップの予想浸水深等の事前情報があまり機能していないことも明らかになった. そこで,水害リスクの認知や洪水への備えを促す水害リスク情報の表現方法を検討した.水害リスクの高い地域を対象に水害に関する意識調査を行い,「水害への意識」と「洪水への備え」に関する因果構造分析と洪水ハザードマップの評価を行った.それらの結果を考慮して,「洪水ハザードマップ」,「30年確率表記」および「リスクのモノサシ」の3種類の水害リスク情報を作成し,住民に提示した.その結果,各提示情報の特性に応じて水害リスク認知や備えが促されることが分かった.さらに,各表現方法の特徴が活かすために,「洪水ハザードマップ」に「30年確率表記」と「リスクのモノサシ」を付加することで,洪水ハザードマップの理解度と信頼性が向上した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
洪水時の氾濫域の土地利用規制が流域管理的な治水政策の課題としてある中,河川沿いに開発された宅地で,2012年7月の九州北部豪雨の際に外水により住宅が損壊するなど実際に被害が生じた.そこを対象に現地調査を行い,流域管理的な治水政策のソフト施策として土地利用規制ともに重要となる洪水ハザードマップの避難促進効果について検証した.その上で,住民の洪水危険度の認知を向上させるためには,その表現方法を工夫する必要があることが明らかになった.その過程において,汎用型氾濫シミュレーションの開発とシミュレーションの結果と土地利用現況から治水経済マニュアルに準じた被害算定が行えるシステムを開発した.これにより,水害リスクカーブおよびVaRをこれまでより効率的に求めることが出来るようになった. 以上の成果が得られていることから達成度は,「おおむね順調に進展している.」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
流域管理的治水政策の水害リスク軽減効果をVaR指標により定量的に把握する.流域管理的治水政策は,平常時の土地利用規制・誘導政策と水害時の広域的水害対策の大きく二つに分けられる.前者を評価するためには,土地利用規制・誘導政策がどのような土地利用状況をもたらすかを立地均衡モデルにより予測する必要がある.そのため流域管理的治水政策の評価は,a)既存の土地利用におけるVaRの算出,b)土地利用規制・誘導政策の設定,c)立地均衡モデルによる土地利用変化の予測,d)新たな土地利用におけるVaRの算出,e)政策前後のVaRの比較,のステップを踏む. 具体的には,開発した汎用型氾濫シミュレーションと被害額算定システムを用いて,24年度に策定した土地利用規制シナリオ下での土地利用状況におけるVaRを算定する.その結果から,土地利用規制の効果を定量的に把握する.対象地域は,当初予定していた壺川地区に加え,九州北部豪雨災害で被災した龍田地区についても検討の対象とする.
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Research Products
(17 results)
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[Presentation] 自主避難要因分析2014
Author(s)
天本昌吾
Organizer
平成25年度 土木学会西部支部研究発表会
Place of Presentation
福岡市・福岡大学七隈キャンパス
Year and Date
20140308-20140308
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