2012 Fiscal Year Research-status Report
歴史と文化を活かした川まちづくりのための地域マネジメント手法の開発
Project/Area Number |
24560646
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
田中 尚人 熊本大学, 政策創造研究教育センター, 准教授 (60311742)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 川まちづくり / 土木遺産 / 土木史 / 景観 / 水辺 / コミュニティ / 国際情報交換 / フランス |
Research Abstract |
本研究では,地域の歴史と文化を活かした川まちづくりを実践するための,地域マネジメント手法を開発することを目的とする.具体的には,まず,国内の先進事例を対象に,都市内の水辺における地域社会の協働プロセス及び水辺の土木遺産及び文化的景観の保全・活用手法に関する調査・分析を行う.本研究では,広島県広島市では雁木と呼ばれる階段状の石積み護岸と河畔林を,島根県松江市では城下町の伝統的な町並みと堀割の石積み護岸を,福岡県柳川市では同じく堀割の石積み護岸及び水門などの水位調節施設を,最後に四国の四万十川流域では沈下橋を調査対象とする.次に,川まちづくりに係る複雑な水辺の事象・活動及び協働プロセスを読み解き,川まちづくりや地域防災の基盤となる自治システムの構築に至る地域マネジメント手法を開発する. 1.都市内の水辺における地域社会の協働プロセスの調査・分析 平成24年度は広島市を主な研究対象地とした.広島市は,「水の都ひろしま-水の都整備構想」を基盤として,様々な水辺の市民活動を展開してきた.その中でも,雁木を活用した「雁木タクシー」と呼ばれる水上タクシーをNPOが運営しており,その評価が高い.この水辺における地域社会の協働プロセスを,グループ・ダイナミックス的手法によって記述し年表を作成し,それぞれの活動の変化点に着目し,主体間の関係性を分析した. 2.水辺の土木遺産及び文化的景観の保全・活用手法の調査・分析 広島市では雁木と呼ばれる階段状の石積み護岸が多数存在する.この雁木を対象に,一つ一つの文化財というより群として,システムとして機能する土木遺産の価値,その保全・活用について検討した.雁木は,それぞれの敷地や土地利用の要請から築造され,群として面的に交通ネットワーク化して機能を発揮し,干満の差が大きい広島の水辺の特徴をよく表す形で,公共の用に供してきたことが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内の研究対象地として予定している広島市,松江市,柳川市,四国の四万十川流域のうち,広島と四万十川流域の調査は,おおよそ済んでおり.水辺の土木遺産群の基礎的な価値の理解が成され,その保存・活用に向けたマネジメントの規範が獲得できたので.
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Strategy for Future Research Activity |
国内の研究対象地の残り2つ,松江市と柳川市の調査を行うとともに,平成24年度の1,2の研究に関する先進事例として,世界一の観光立国フランスの水辺を対象に事例調査,分析を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国内の研究対象地の残り2つ,松江市と柳川市の調査を行うとともに,平成24年度の1,2の研究に関する先進事例として,世界一の観光立国フランスの水辺を対象に事例調査,分析を行う.フランスは,地方分権の進展に伴い,地方部において地域の持続可能な発展を担う観光や経済開発政策,事業に基礎自治体が積極的に取り組んでおり,本研究で開発しようとする地域マネジメント手法としても学ぶべき部分が多い.調査対象地としては,パリ,ボルドー,ストラスブールを予定している. 3.川まちづくりの主体となる自治システムの構築・検証 以上の調査内容を踏まえ,広島市,松江市,柳川市での事例分析を元に,川まちづくりや防災の基盤となる自治システムの構築手法を開発する.
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