2014 Fiscal Year Annual Research Report
社会基盤整備を活用した協調社会の促進とコミュニティ再生
Project/Area Number |
24560648
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
青木 俊明 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (60302072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲村 肇 東北工業大学, 工学部, 教授 (50168415)
林 洋一郎 慶應義塾大学, その他の研究科, 准教授 (70454395)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 都市計画 / 社会心理学 / 地域計画 / 合意形成 / 協力行動 / 復興 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,前年度分析で分析手法の誤用が発見されたため,再分析を行った.その際,既発表の2編の論文に加え,データを追加し,さらに3編の論文を執筆し,それらを成果としてとりまとめる方向で作業が行われた. まず,公正な手続きが協力的態度の形成を促す手続き的公正効果(FPE)は事業の利害構造で異なることが示唆された. 次に,パーソナリティーとFPEの関係を再分析した.その結果,社会的効果がさほど高くない事業では,公共心の高い人々にFPEが認められるが,公共心の低い人々にはFPEが認められないことが示唆された.しかし,社会的効果が高い事業では,公共心の高低とFPEの関係は逆になった.そのため,FPEに対する公共心の媒介効果も,問題の利害特性によって異なることが示唆された. 最後に,webを用いた行動実験のデータと場面想定法で得たデータを用いて,FPEのメカニズムが分析された.その結果,自己関連性の低い場合(自己損失が低い場合)には,公正な手続きそれ自体をもってヒューリスティックに賛否態度が形成されるが,自己関連性が高い場合(自己損失が高い場合)には,公正な手続きで得た情報を精査し,熟慮の上で態度が形成されたことが示唆された. これまでに得られた結果を整理すると,①危機的な状況下では,公正な手続きを用いた合意形成によってコミュニティ活動が促進される,②前記の場合には,公正な手続きによって合意形成活動の参加者の生活満足度も高まる,ことが示唆され,危機的状況という条件が必要になるが,当初想定したQoLモデルの成立が確認された.一方,協力行動モデルについても,想定されたメカニズムが支持された.また,個人の態度形成メカニズムについては,情報処理過程まで分析したことにより,当初の想定以上の成果を得た.以上の成果から,当初想定したモデル構造の検証は終了した.
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Research Products
(5 results)