2013 Fiscal Year Research-status Report
ジオメトリー論に基づく環境共生型社会基盤整備の計画手法と合意形成手法に関する研究
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24560653
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
柴田 久 福岡大学, 工学部, 准教授 (40352083)
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Keywords | ジオメトリー / 環境共生 / 社会基盤整備 / 合意形成 |
Research Abstract |
1.環境共生型社会基盤整備の戦略的計画手法に向けた事例の史的分析 環境共生を目指す社会基盤整備の戦略的計画手法に関する基礎的な知見の収集として、都市エリアと自然エリアがコンパクトに共存する福岡市を事例に、同市の都市戦略に関する史的考察を行った。ここでは福岡市の都市形成に影響を与えたと考えられる1960年代の施策変遷と当時の議論を整理し、都市戦略のあり方について考察している。その結果、1)客観的な診断分析は都市発展の方向を決定づけることに寄与すること、2)都市の競争相手となる他者を認識することでその比較から都市の特徴を見出し得ること、3)第三者からの都市の性格付けによって相対的な位置づけが明確化されることなどを指摘した。本考察結果は「1960年代の福岡市政の変遷にみる都市戦略のあり方に関する史的考察」として、土木学会論文集D1,Vol.70,No.1,pp.1-15(2014年1月)に掲載された。 2.社会基盤整備による空間的・社会的影響に関する考察 共生型都市形成を目指す社会基盤整備の影響を論考するため、博多湾内に位置する港町の箱崎を事例に、町の形成を出発点とした歴史変遷と近代化がもたらした空間的、社会的影響について考察した。その結果、近代以降の空間的変化および社会的変化に影響した出来事とその関係性を把握し、近代化によって生み出された空間と社会両面における保存・消失の共存状況を明らかにした。これらの考察結果は2014年3月に「Historical transformation of the Hakozaki area as a port town in Fukuoka City」としてInternational Journal of Asian Social Scienceの査読付き掲載論文として受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
審査付き論文集への掲載など、本研究にかかる調査・分析結果の整理と蓄積ならびにそれら成果に対する考察が順調に進展しているものと考える。 一方で社会基盤整備に対する妥当性判断に寄与する合意形成手法の整理に関しては、大分県佐伯市大手前開発計画や長崎県対馬市横町線拡幅計画などの具体事例をもとに実践的な検討を進めている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.本研究テーマの合意形成に対する可視的な手法の活用が計画案作成の根拠を明確化する方法論としていかに有効であるか、またその限界はどのようなものかを実証的に考察し、さらに国内外の事例検証の成果を統合し、環境共生型社会基盤整備の計画手法と合意形成プロセスについて考察を行う。 2.以上の考察結果を取りまとめ、研究成果報告書を作成する。さらに順次、研究成果を公刊すべく各種学会への発表論文として投稿を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入を予定していたプリンターなど、物品費に変更が生じたため 最終成果報告書の作成に活用すべく、平成26年度にプリンターの購入費用として使用する予定である
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Research Products
(3 results)