2013 Fiscal Year Research-status Report
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24560658
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
藤田 昌史 茨城大学, 工学部, 准教授 (60362084)
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Keywords | 硫酸塩還元細菌 / 海水 / 生活排水 / 重金属 / 包括固定化 / 微生物群集構造解析 |
Research Abstract |
平成25年度の研究計画では、1) SRB汚泥の微生物群集構造解析とSRBの主要な炭素源の評価、2) さまざまな塩分濃度条件下における有機物変換・硫酸塩還元反応速度の評価を予定していた。 1)については、都市下水のみを処理する活性汚泥を対照系として、都市下水に海水を添加して処理運転(海水添加系)した活性汚泥の16S rDNAを解析した。その結果、海水添加系にのみAlphaproteobacteria、 Actinobacteria、 Planctomycetalesに属すクローンが検出され、合計で全体の21%を占めていた。特にAlphaproteobacteriaは全体の17%を占めており、海水投入時の排水処理において重要な役割を担っていた可能性がある。また、いずれの系でも検出されたDeltaproteobacteriaのクローンのうち、硫酸塩還元細菌に近縁な配列のものが、対照系では73%、海水添加系では100%であった。海水添加系では硫酸塩還元細菌が海水中の硫酸塩を利用した排水処理を担い、優占したものと考えられる。また、海水添加系の活性汚泥を用いて活性試験を実施したところ、酢酸、プロピオン酸、乳酸、酪酸を摂取することが確認された。 2)については、環礁における現地環境を想定して海水を希釈して回分実験を行った。有機物除去速度や硫酸塩消費速度には大きな違いは認められなかった。 昨年度から進めている調査研究で、環礁国の沿岸における重金属汚染が明らかになったことから、本プロセスで重金属除去が可能か追加的に検討を行った。海水に含まれる硫酸塩が還元されることにより生成する硫化水素と重金属が反応して、重金属硫化物が生成することにより、都市下水に含まれるCr、Mn、Cu、Zn、Cd、Pbがそれぞれ84.2%、34.7%、92.2%、86.2%、100%、94.2%除去できることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画で予定していた二つの検討内容は問題なく実施することができ、順調に研究が進んでいる。平成25年9月には国際会議論文発表、平成25年11月、平成26年3月には学会発表を行った。また、本研究の成果をフィードバックするうえで重要となる環礁国沿岸の重金属汚染の現状や機構についても知見を整理して、論文を公表することができた。また、本研究を進める過程で、計画段階では想定していなかった微生物燃料電池の利用可能性の予備的な知見を得ることができ、本研究課題の幅を広げることができた。したがって、当初の計画以上に研究が進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、研究計画書の予定どおり「SRB汚泥の動態を再現し処理水質を予測可能な数学モデルの構築」を検討する。海水は一般的な都市下水の約30倍の導電率を有することから、本プロセスに微生物燃料電池を応用することで通常のシステムよりも高い発電効率が期待できる。これまでに、海水添加系での微生物燃料電池の検討はなされていないことから、学術的にも新規性がある。また、電力が乏しい環礁国で自立的なシステムの構築を目指すことは社会的にも意義がある。これまで計画どおりに研究が進行しているので、平成26年度は今年度予備検討を行った微生物燃料電池について本格的に研究を進めることを考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定よりも安価に物品を購入できたため、端数が生じた。 平成26年度支払請求分とともに、物品費として使用する。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Heavy metal contamination of coastal lagoon sediments: Fongafale Islet, Funafuti Atoll, Tuvalu2014
Author(s)
Fujita, M., Ide, Y., Sato, D., Kench, P. S., Kuwahara, Y., Yokoki, H., Kayanne, H.
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Journal Title
Chemosphere
Volume: 95
Pages: 628-634
DOI
Peer Reviewed
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