2014 Fiscal Year Annual Research Report
ビルレンス因子を指標とした水道システムにおける感染性レジオネラの定量的検出
Project/Area Number |
24560663
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
大河内 由美子 麻布大学, その他部局等, 准教授 (00391079)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 水系感染症微生物 / レジオネラ / 感染能 / 再増殖 / 残留塩素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ヒト白血病由来血球細胞を用いたレジオネラ共培養試験系を利用して,レジオネラ属細菌の感染能変化を調べるとともに,貯水槽水道方式の給水栓水を対象とした採水調査により,レジオネラ属細菌による汚染状況を調査した。培養したL. pneumophilaを低栄養状態に曝して経時的に感染能の変化を調べたところ,10日程度まで細胞内増殖能が増強されることがわかった。また,あらかじめL-システイン制限条件下で培養したL. pneumophilaを低栄養条件に曝すことで,細胞内増殖能がさらに増強されることが明らかとなった。 平成25~26年度は,特に貯水槽水道方式の大学内建物内において,使用頻度の低い給水栓を対象とした採水調査を重点的に実施した。具体的には,採水直後の試料を濃縮し酸処理した後,培養検査によるレジオネラ属検出を行うとともに,同一試料を20℃で7日間保管した後に,レジオネラ属の再増殖の有無を培養法により確認した。同時に,採水直後・再増殖操作後のHPC測定も行った。 年間を通した採水調査の結果,採水直後試料では延べ57給水栓試料のうち17試料からレジオネラ属細菌が検出された。その濃度範囲は100~61900 CFU/Lであった。レジオネラ属が検出された同一給水栓を対象に繰り返し採水を行った結果,水温の高い夏季の方が高濃度でレジオネラ属が検出されること,またいったんレジオネラ属陰性となった給水栓においても,その後再び陽性に転じる現象も確認された。滞留水の排出により残留塩素濃度が回復しレジオネラが一時的に不活化されたとしても,水質条件が再度悪化すれば給水栓内で容易に再増殖が起こると推測される。 再増殖操作後には,57給水栓試料中12試料からレジオネラ属細菌が検出された。この結果も,レジオネラ属は給水栓水中に不活化された状態で存在していることを示している。
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Research Products
(1 results)