2012 Fiscal Year Research-status Report
大阪平野に流入する冷気流の夜間ヒートアイランド対策としての利用可能性に関する研究
Project/Area Number |
24560664
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
玉井 昌宏 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70197557)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 大気環境 / ヒートアイランド / 冷気流 |
Research Abstract |
本研究では,大阪平野に流入する冷気流を総合的に把握するために,気象観測データ分析により発生条件,気温低下効果等について検討を行った上で,その流動構造解明のために,現地観測を実施する.流動の全体像を明らかにするために,実測結果を検証データとした数値シミュレーションを行う.さらに,山地の土地利用変化や森林域の植生状況を変化させた数値シミュレーションを実行し,冷気流の流動状況に及ぼす影響を明らかにする.これらは,北摂山地より流入する北部冷気流(略記N)と生駒山地,金剛山地より流入する東部冷気流(略記E)を対象として実施する. 平成23年度までに,北部冷気流に関する気象データの分析(研究項目N-A)を実施しており,平成24年度においては,北部冷気流を対象とした現地観測(N-O),流動再現計算(N-S),東部冷気流に関する気象データ分析(E-A)を実施した. (研究項目 N-O) 上記の研究項目N-Aのデータ分析結果を用いて,観測地点を選定するとともに,発生条件を考慮にして冷気流観測を実施した.パイロットバルーン観測により接地層の風速分布を,3次元超音波風速計を用いて,地上気温と風向風速の時間変動特性を計測した.その結果,冷気流の風速分布が斜面を下降する密度流に類似した分布特性を有すること,接地層の熱輸送に及ぼす影響などを明らかにした.(研究項目 N-S) 現有の大気流動モデルHOTMACを用いて北部冷気流の数値計算を行った.とくに,4次元データ同化手法を用いて,気象庁によるGPVデータを計算に取り込んで,冷気流発生日の再現計算を試みたが,気流場の再現性は低く予定していた成果は得られなかった.(研究項目 E-A) 東部冷気流について,アメダスデータ等の地上観測データを用いて,この冷気流の発生条件と夜間ヒートアイランドに及ぼす影響について明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では研究対象と大阪平野北部冷気流(略記N)と東部冷気流(略記E)を対象とし,それぞれに対して気象観測データ分析(略記A)と現地観測(略記O),数値シミュレーション(略記S)を行う.平成23年度までに,研究項目N-A(北部冷気流に対するデータ分析)を実施済であったことから,当初予定として,平成24年度において,北部冷気流を対象とした現地観測(N-O),流動再現計算(N-S),東部冷気流に関する気象データ分析(E-A)を,平成25年度において,東部冷気流の現地観測(E-O),再現計算(E-S)を,平成26年度において両地域の冷気流とHIとの相互関係の検討(N-I,E-I)と冷気流利用可能性の検討(U)を実施することとした. 予定に従って,平成24年度においては,研究項目N-O,N-S,E-Aを実施した.E-Aについては,予定された成果が得られ,その内容は平成24年度中に土木学会論文集G分野に掲載された.N-Oについては,現地観測を実施して,北部冷気流の流動構造をおおむね明らかにすることができた.その成果は,平成25年度中に土木学会論文集(G)に投稿予定である.N-Sについては,北部冷気流の再現計算を試みたが,その再現性は低く予定していた成果は得られなかった.このN-Sについては,平成25年度以降の課題となった.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度において,当初予定の通り,東部冷気流の現地観測(E-O)と東部冷気流の再現計算(E-S)を実施するとともに,平成24年度において予定された成果の得られなかった北部冷気流の再現計算(N-S)について取り組む.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を進めていくうえで必要に応じて研究費を執行したため,当初見込み額と執行額は若干異なったが,研究計画に変更はなく,前年度の研究費を含めて,当初の予定通りの計画を進めていく.
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Research Products
(5 results)