2013 Fiscal Year Research-status Report
大阪平野に流入する冷気流の夜間ヒートアイランド対策としての利用可能性に関する研究
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24560664
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
玉井 昌宏 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70197557)
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Keywords | 大気環境 / ヒートアイランド現象 / 冷気流 |
Research Abstract |
本研究では,大阪平野に流入する冷気流を総合的に把握するために,気象観測データ分析により発生条件,気温低下効果等について検討を行った上で,その流動構造解明のために,現地観測を実施する.流動の全体像を明らかにするために,実測結果を検証データとした数値シミュレーションを行う.さらに,山地の土地利用変化や森林域の植生状況を変化させた数値シミュレーションを実行し,冷気流の流動状況に及ぼす影響を明らかにする.これらは,北摂山地より流入する北部冷気流(略記N)と生駒山地,金剛山地より流入する東部冷気流(略記E)を対象として実施する. 平成23年度までに,北部冷気流に関する気象データの分析(研究項目N-A)を実施しており,平成24年度においては,北部冷気流を対象とした現地観測(N-O),流動再現計算(N-S),東部冷気流に関する気象データ分析(E-A)を実施した.平成25年度においては,東部冷気流を対象とした現地観測(E-O)を行うとともに,冷気流の基本的な流動特性と発生条件との関連性を確認するために,数値計算を実施した.(E-N) (研究項目 E-O) 平成24年度に実施した研究項目E-Aに基づいて,東部冷気流の観測を実施した.その結果,東部冷気流は北部冷気流と異なり,間欠的にしか生じないこと,その気流の風速分布は北部冷気流と同様に下降密度流に類似した分布特性を有すること,北部冷気流に比較して規模が小さいことなどが明らかになった.しかしながら,冷気流の発生が間欠的であることにより,接地層の熱輸送に及ぼす影響等については明確にできなかった.(研究項目 E-S) 汎用の数値計算モデルPHOENICSを用いて,単純化した冷気流の数値計算を実施した.これは,東部冷気流の発生が間欠的で,流動規模が小さいことにより,一般風などの発生条件と流動特性との関係をより明確にすることが必要であったことによる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では研究対象と大阪平野北部冷気流(略記N)と東部冷気流(略記E)を対象とし,それぞれに対して気象観測データ分析(略記A)と現地観測(略記O),数値シミュレーション(略記S)を行う.平成23年度までに,研究項目N-A(北部冷気流に対するデータ分析)を実施済であったことから,平成24年度において,北部冷気流を対象とした現地観測(N-O),流動再現計算(N-S),東部冷気流に関する気象データ分析(E-A)を,平成25年度において,東部冷気流の現地観測(E-O),再現計算(E-S)を,平成26年度において両地域の冷気流とHIとの相互関係の検討(N-I,E-I)と冷気流利用可能性の検討(U)を実施することとした. 予定に従って,平成24年度においては,研究項目N-O,N-S,E-Aを実施した.E-Aについては,予定された成果が得られ,その内容は平成24年度中に土木学会論文集G分野に掲載された.N-Oについては,現地観測を実施して,北部冷気流の流動構造をおおむね明らかにすることができた.その成果は,平成25年度に土木学会論文集(G)に掲載された.N-Sについては,北部冷気流の再現計算を試みたが,その再現性は低く予定していた成果は得られなかった.このN-Sについては,平成25年度以降の課題となった. 平成25年度においては,まず,E-Oを実施したが,東部冷気流の流動構造が当初の予想と異なるものであったことから,予定通りに実測が終了しなかった.このことによって,平成26年度においても同様の観測を継続することにした.このことに関連して,E-Sを実施したが,これも基本的な流動構造の計算を実施している段階であり,発生条件との関係は明らかになっていない.平成24年度の積み残した課題N-Sとともに平成26年度に取り組む予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
特に平成25年度において積み残しとなった東部冷気流の現地観測(E-O)について,最優先で実施する.平成24年度,25年度に実施しながら適切な計算結果が得られなかった冷気流の数値計算に関わる課題(N-S,E-S)についても実施する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年夏季に東部冷気流の現地観測を集中的に実施する予定であったが,生憎全体的に天候不順であったために,予定通りの観測が実施できなかった.このために,観測のための旅費やレンタカー費用が余剰となった. 平成26年度に東部冷気流の追加観測を実施する予定であり,余剰金はそのために使用する.
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Research Products
(2 results)