2013 Fiscal Year Research-status Report
中山間地域における生態系サービスと土木・環境技術によるスマートコミュニティ構築
Project/Area Number |
24560665
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
吉田 登 和歌山大学, システム工学部, 教授 (60263224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 祐吾 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (30379127)
金子 泰純 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (60243367)
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Keywords | 木質バイオマス / 産業連関分析 / 炭素クレジット / 技術選択 / カーボンオフセット / 支払意思額 |
Research Abstract |
本研究は、中山間地域における生態系サービスと土木・環境技術によるスマートコミュニティ構築の可能性を評価するフレーム開発を目的としており、その2年目にあたる本年度は、(1)日高川町における木質パウダーボイラーを和歌山県中部の日高川町を対象として未利用間伐材を木質パウダー燃料として利用することで可能となる温室効果ガス削減量と経済的効果の検討を行った。ついで、(2)施設園芸農家のボイラ更新を対象に、過去の自主的なCO2削減努力の違いがクレジット制度を活用して設備を更新した際に得られる便益に及ぼす影響を分析した。さらに、(3)異なる財消費に起因するCO2排出に対して森林吸収によるカーボン・オフセットを行う際の人々の支払意思額に様々な要因が及ぼす影響を調べるためにWEBアンケート(全国2880サンプル)を行い、質問方式や回答者属性が支払意思額に影響を及ぼす要因について分析を行った。 研究の結果、(1)では生態系サービス評価フレームとしての町単位産業連関表をもとに、現状で市場価値のない25年で行う間伐発生材の燃料化によって日高川町役場における公務によるGHG排出量の1/4程度を削減することができる可能性が示唆されること、間伐材の燃料化事業では,間伐面積の増加による補助金のほか波及効果によって現在の2倍の経済効果が見込まれることを明らかにした。(2)ではクレジット制度を活用する際の技術選択ではヒートポンプへの更新が投資効率に優れること、長期間にわたって設備更新してこなかった場合にはCO2削減効果が小さい高効率ボイラへの更新が最も早く投資回収できること、などを明らかにした。(3)では、ティッシュ箱とPETボトルの消費に際して森林吸収によるカーボンオフセットを行う際の様々な影響要因が支払意思額に及ぼす影響について分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
森林バイオマスの生態系サービスを活用することが社会経済に及ぼす効果を分析するための産業連関モデルの開発については研究目的を達する水準に進めることが出来ているが、平成26年度では税や雇用の効果を分析可能な社会会計モデルへと拡張することまでを目指していたため、その部分を早急に開発する必要がある。一方で、炭素クレジット制度について生態系サービスの提供を生業とする施設園芸農家に適用した詳細な事例分析や、森林によるCO2吸収の生態系サービスへの支払意思額による価値評価について詳細なWEBアンケート分析を行うなどの応用的な分析を広く行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、税や雇用の効果を分析可能な社会会計モデルへと拡張した生態系サービスの評価モデルを構築するとともに、森林によるCO2吸収の生態系サービスへの支払意思額による価値評価について、多変量解析モデルをもとに詳細な解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じた理由は物品を予定より安価で購入できたためである。この未使用額は、次年度分として請求した助成金とあわせて有効に使用する。 解析用コンピュータ及びアプリケーションソフト費、研究成果発表および調査のための旅費、研究協力謝金、論文登録料等として使用する。
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Research Products
(3 results)