2013 Fiscal Year Research-status Report
酸溶出法に基づいた下水汚泥焼却灰からのリン・重金属の分別回収
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24560670
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
高島 正信 福井工業大学, 工学部, 教授 (30257498)
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Keywords | 焼却灰 / 下水汚泥 / リン回収 / リン酸鉄 / 重金属 |
Research Abstract |
本研究では、硫酸を用いて下水汚泥焼却灰からリン酸を溶出させ、その酸溶出液からリンをリン酸鉄として分別回収することを試みた。モデル重金属としてはCuとZnを選択した。まず、硫酸濃度を増して酸溶出液pHを0.8~1.5まで下げると、焼却灰中リンの79~85%が可溶化された。次に、この酸性溶液に塩化第2鉄をFe/Pモル比1.1で加え、pHを1.9~2.1に調整すると、比較的純粋なリン酸鉄の沈殿が得られた。リン酸鉄中には、Alが1.8~2.0%DW、Znが0.036~0.046%DW、Cuが0.015~0.017%DWの含有量でそれぞれ存在していた。また、このリン酸鉄回収時において高温嫌気性消化汚泥のろ液を用いた自然のキレート剤を添加したところ、重金属を溶解性に保つのにほとんど効果が見られなかった。したがって、自然系キレート剤によるリン酸鉄沈殿からそれら金属の分離は限定的にしかうまくいかなかったと評価される。一方、低pHにおける金属の挙動を理解するのが必要であることも示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目標が未達成のものがあることや、新しい課題が見つかったことによる。例えば、焼却灰からの酸溶出において80%以上のリン溶出率が常時得られておらず、H26年度に酸溶出条件の一部変更を含めて再確認の実験を行う。また、消化汚泥ろ液の金属キレート作用が乏しかったことは予想外のことであった。 新しい課題としては、従来のリン鉱石を用いたリン化合物生産においては、リン化合物以外にも含有量の多いカルシウムは石膏として回収するなど、資源を有効利用し、廃棄物が出ないようにする方法を用いている。本研究でも、その線に沿って焼却灰からの効率的な資源回収を検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、大きく分けて3つの項目がある。 1)まず、酸溶出の再試験を行う。検討項目は、pH、焼却灰の粒度、溶出温度である。実験条件ごとにより実験数を増すことによって信頼性も確保する。 2)リンをリン酸鉄として回収することは比較的高純度のリンを得るためには良いが、リン酸鉄の用途はあまり広くない。そこで、リン酸鉄にカルシウムをを反応させ、リン酸カルシウムに転換できるかどうかと、そのときの重金属などを不純物の量について確認する。 3)添加した硫酸と焼却灰中に存在するカルシウムについて有効利用するために、石膏の回収とその純度について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の進捗状況がやや遅れていることにより、発表する機会を作れなかったことが主な理由である。 平成26年度は最終年度であるので、推進方針に沿って内容で研究費を有効に使用し、できるだけ多くの研究成果が得られるよう最善を尽くす予定である。そして、発表に値する成果が得られたときには、積極的に学会発表等を行う。
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