2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560676
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岡崎 太一郎 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20414964)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 鋼構造 / 接合部 / 構造実験 |
Research Abstract |
本研究は、鋼構造にとって最重要命題である柱梁接合部を取り上げ、現行のものと比較して同等の耐震性能を保有しつつ、経済性を向上した柱梁接合部を開発することを目的とする。具体的には、切削や溶接といった施工手順を簡略化し、工作誤差に寛容な接合部形式を考案し、その耐震性能を検証する。国内外の鋼構造建築物の経済性と地震安全性に貢献する成果を目指す。また、数値解析によって鋼構造物の耐震性能を評価する科学的方法を進展することも目的とする。主な研究手法は、構造実験と数値解析である。初年度の研究実績は、(1)柱梁接合部の試設計を進めたこと、(2)構造実験の準備を進めたこと、(3)国内外の関連情報を収集し分析したこと、の三点である。 一点目については、考案を進める柱梁接合部について、各要素の幾何学的形状や寸法、高力ボルト摩擦接合を採用することの現実性、塑性変形を先行させる部位の選択、などについて既往の研究を参照しつつ検証した。二点目については、実験に必要な機器(データロガー、データ収録用のノートパソコン)を購入し、実験用の加力冶具、計測冶具などの設計を進めた。三点目は、一点目から派生した成果であるが、日本と米国で、柱梁接合部の設計とその規定がどのように異なるかを明らかにし、その原因を分析した。 また、関連する鋼構造接合部に関する論文を執筆し、国際会議(世界地震工学会)に出席し、これまでに実施した鋼構造に関わる研究成果を発表するとともに、研究情報を収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、初年度に、(A)柱梁接合部の試設計を進めつつ、(B)試行的に構造実験を一部実施する予定を立てた。(A)については、ほぼ予定通りに実施した、またその派生成果として、上覧の「(3)国内外の関連情報を収集し分析したこと」を得た。一方で、(B)は年度内に完遂できなかった。その原因は、実験を実施するために必要な加力冶具や計測冶具が、当初考えたより多く、それらの設計に要する時間が多く必要だったことである。
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Strategy for Future Research Activity |
二年度目と三年度目は、柱梁接合部を含んだ鋼構造建物の部分架構を試験体とした、構造実験を実施する。二年度目は二体、三年度目は二体の試験体を実験する予定である。実験の遂行が遅れている事情を反映して、実験の実施時期を当初予定より若干遅い時期にずらす。実験結果から、接合部の履歴性状、終局状態(破壊モード)、事前予測との整合、最大耐力を達成した後の耐力劣化性状などを精査する。 汎用解析ソフトを使用し、構造実験で観察した挙動に対する理解を深め、また実験で把握しきれないパラメータに検討範囲を広げるための精密な有限要素解析を実行する。数値解析が局所部位の降伏や座屈、接合部の強度や耐力劣化状況を模擬できるかどうかに注目する。さらに、海外共同研究と協同し、特に繰り返し塑性ひずみを原因とする破壊を予測し、破壊の進展を包含した数値解析を展開する。 構造実験と数値解析で得たデータを分析し、既往の研究とあわせて、考案する接合部を実用構造設計に供するための設計方法を提案する。ここでは終局状態、塑性変形能力、強度などの基本情報を明示し、各要素の寸法を決定するための設計式を整備する。また、従来の形式と比較した長所・短所を整理する。 最後に、三年間にわたって実施した構造実験、数値解析、資料収集、設計方法の考案の成果をまとめる。報告書、論文、講演資料などの成果物を作成し、鋼構造建築の耐震安全性と経済性に貢献するための、さらなる研究につなげる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初計画では、初年度に試行的な構造実験を実施する予定であったが、これを完遂できなかった。一方で、当初計画しなかった国際学会に参加した結果、初年度に執行残147千円をだした。25年度については、初年度と25年度に分けて実施する予定でいた実験をまとめて実施し、一方で、当初予定した国際学会への参加を取りやめる。この結果、二年目の終了時点で、ちょうど当初の予定通りに執行する見込みである。
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Research Products
(1 results)