2013 Fiscal Year Research-status Report
損傷低減・高靱性型袖壁付き鉄筋コンクリート柱部材の開発
Project/Area Number |
24560680
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
磯 雅人 福井大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60377471)
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Keywords | 片側袖壁付き柱 / 拘束筋 / PVA-FRC / 靭性 / 損傷 / スケルトンカーブ |
Research Abstract |
袖壁付き柱は,独立柱に比べて剛性,耐力は高いものの,その後の性状は極めて脆性的である。そのため,その部材の破壊が建物全体の耐震性能に大きく影響を及ぼす可能性がある。以上の理由から現設計では,上記問題を回避するために袖壁にスリットを設けて,見掛け上,独立柱の挙動となるように設計が行われている。しかしながら,阪神淡路大震災では,そのようにスリットを設けた建物が大きく損傷して残留変形が残り,その後に,建物の使用ができずに解体したケースも見られ,大地震時においても建物の変形や損傷を制御することの必要性が喚起された。 そこで上記問題の解決案の1つとして,従来,脆性部材とされた袖壁付きRC柱に高い靱性を付与させ,損傷を軽減できるならば,上記問題を解決できる可能性がある。さらに,その構造性能評価ができればスリットを入れる必要が無くなり施工面への負担も軽減できる。 以上より本研究では,地震時の損傷を軽減でき,高い靭性能を備えた片側袖壁付きRC柱の開発を行うと同時に,構造実験により,その構造性能を明らかにし,その設計手法を開発する。以上の目的を達成させるため,H25年度に実施した片側袖壁付きRC柱試験体は,変動要因を袖壁端部拘束筋の拘束範囲とした2体の試験体である。袖壁外端部を柱脚から250mmの範囲のみを拘束した試験体。袖壁の内外端を柱頭・柱脚の全範囲を補強した試験体の計2体である。 ・H24年度で実施した試験体との比較により,袖壁端部拘束筋の降伏点強度の影響を検討した。その結果,袖壁端部拘束筋の降伏点強度を高めることにより,袖壁が圧縮となる加力側の靭性能を向上できることが示された。 ・袖壁端部拘束筋の補強範囲を脚部より2.5t(t:袖壁厚さ)程度としておけば,おおむね問題はないと推察される。さらに,柱際の袖壁部にも拘束筋を配置することにより,最大耐力後の耐力低下が軽減される傾向が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,地震時での損傷が甚大で,かつ,変形性能が極めて脆性的である袖壁付きRC柱の性能を大きく改善し,損傷を軽減でき、かつ、靱性能に優れた性能に改善することである。 以上の目的の基に計画され,実施された平成25年度の実験では,以下に示す知見を得ることができた。 ・H24年度で実施した試験体との比較により,袖壁端部拘束筋の降伏点強度の影響を検討した。その結果,袖壁端部拘束筋の降伏点強度を高めることにより,袖壁が圧縮となる加力側の靭性能を向上できることが示された。 ・袖壁端部拘束筋の補強範囲を脚部より2.5t(t:袖壁厚さ)程度としておけば,おおむね問題はないと推察される。さらに,柱際の袖壁部にも拘束筋を配置することにより,最大耐力後の耐力低下が軽減される傾向が認められた。 以上の結果から,靱性能を向上させるための配筋方法を提案でき,その構造性能を定性的に示すことができた。 以上より,本研究は「おおむね順調に進展している。」と判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,当初の計画通り,平成24,25年度の結果をまとめて,①各種耐力評価,②変形性能評価,③損傷評価を行い,損傷低減・高靭性型片側袖壁付きRC柱部材の設計手法の開発を行う。 ①各種耐力評価:曲げひび割れ耐力,せん断ひび割れ耐力,曲げ終局耐力,せん断終局耐力等について検討を行い,各種耐力の評価式について提案する。 ②変形性能評価:荷重と変形モデルの各特異点(弾性剛性,降伏時剛性,限界変形角,各種耐力等)について検討を行い,荷重-変形スケルトンモデルを提案する。 ③損傷評価:ひび割れ幅と変形との関係を明らかにして損傷評価を行うための手法を提案する。 最後に,本研究で開発された推奨配筋を有する「損傷低減・高靭性型片側袖壁付きRC柱」について曲げせん断実験を行い,上記で示した設計法の妥当性を検証する。
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Research Products
(2 results)