2012 Fiscal Year Research-status Report
鋼構造骨組における形鋼ブレースの変形性能向上に関する研究
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24560682
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田川 浩 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70283629)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 山形鋼 / ブレース / 接合部補強 / 圧縮補強 / 載荷実験 / 圧縮耐力評価 / 有限要素解析 / 変形性能 |
Research Abstract |
山形鋼ブレースの劣化挙動を防止するための補強方法として,ブレースと同一の山形鋼を端部に溶接する方法を提案した。この補強方法は接合部補強と圧縮補強の両方を想定している。まず,圧縮補強効果を明らかにするために,ブレース断面と補強長さが異なる12ケースの圧縮載荷実験結果を分析した。その結果,提案方法で補強された山形鋼ブレースの圧縮挙動特性として,ブレース部材の細長比により補強効果に差が生じることや補強することで座屈モードが一定の方向に発生する傾向があることを明らかにした。実験結果の分析とともに,ブレースの圧縮挙動に関する有限要素解析を実施した。解析結果と実験結果を比較することで良好な解析精度があることを確認するとともに,初期たわみが耐力や座屈後挙動に及ぼす影響などを分析した。 端部補強されたブレース部材の圧縮耐力評価式を導出し,実験および有限要素解析結果と耐力評価を比較することで十分な評価精度を有することを確認した。この評価式は補強部の偏心と曲げ剛性の両方を考慮したものであり,提案補強部を設計する上で重要なものとなる。 以上の圧縮挙動に関する研究に加えて,繰返し載荷時の挙動に関する実験的研究を行った。ブレース断面には1種類のみ想定したため一般的特性を把握するには至っていないが,提案補強法による高力ボルト接合部の補強効果や過剰な補強により望ましくない挙動を呈する可能性があることを明らかにした。この実験結果は提案補強法がブレースの繰返し変形性能に及ぼす影響を検討する上で有意義なものとなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次に示す各項目を遂行していることから本研究はおおむね順調に進展していると判断できる。 (1)山形鋼ブレースの劣化挙動を防止するための補強方法として,ブレースと同一の山形鋼を端部に溶接する方法を提案している。 (2)圧縮補強効果を明らかにするために,ブレース断面と補強長さが異なる12ケースの圧縮載荷実験結果を分析するとともに,圧縮挙動に関する有限要素解析を実施している。 (3)端部補強されたブレース部材の圧縮耐力評価式を導出し,実験および有限要素解析結果と耐力評価を比較することで十分な評価精度を有することを確認している。この評価式は補強部の偏心と曲げ剛性の両方を考慮したものであり,提案補強部を設計する上で重要なものとなる。 (4)繰返し載荷時の挙動に関する実験的研究を通じて,提案補強法がブレースの繰返し変形性能に及ぼす影響を明らかにしている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究では,山形鋼ブレースの種々の補強法について検討し,ブレースと同一の山形鋼を端部に溶接する補強工法の有効性を明らかにしている。ただし,実験パラメタが限られており,本工法の一般的特性を把握するまでには至っていない。そこで今後は,山形鋼断面や部材長などをパラメタとした載荷実験を実施し,データを蓄積するとともに様々な規模の建築物への適用性を検討する。また有限要素解析を実施し実験では捉えられない補強部近傍の詳細なひずみ分布などを明らかにする。さらにガセットプレートを介したブレースと骨組との接合部性能向上のため,柱梁接合部およびガセットプレートを考慮したブレース付骨組試験体の繰返し載荷実験を行い,弾塑性挙動特性を明らかにする。提案補強されたブレースを有する骨組の設計法を整備する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
補強効果確認のための載荷実験を実施するために,実験供試体・実験治具・変位計・ひずみゲージ等に研究費を使用する。有限要素解析を実施するために,解析ソフトおよびパーソナルコンピュータ等に研究費を使用する。実験補助・解析補助の謝金,研究成果発表のための旅費・論文投稿費等に研究費を使用する。
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