2012 Fiscal Year Research-status Report
減災に向けた連続する大地震の揺れ・液状化に対する重要諸施設の詳細応答予測手法構築
Project/Area Number |
24560683
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
護 雅史 名古屋大学, 減災連携研究センター, 准教授 (40447842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福和 伸夫 名古屋大学, 減災連携研究センター, 教授 (20238520)
飛田 潤 名古屋大学, 災害対策室, 教授 (90217521)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 地震防災 / 耐震安全性 |
Research Abstract |
本研究では、被害が東海から近畿、四国、九州に広がるとも予測されている国難とも言うべき南海トラフで発生する巨大地震から、人の命を守り被害を最小限に留めるため、特に役所・学校や病院、エネルギー施設など、災害時に非常に重要となる諸施設の耐震性能について、大都市の人口が集中する軟弱地盤の挙動や建物を支える基礎と地盤との動的な相互作用効果を考慮した精度の高い地震応答解析の構築を通して明らかにする。また、巨大地震発生時だけではなく、その後の建物継続使用可能性判断に有効である、余震や誘発地震に対する被災後建物の応答予測が可能な手法にまで拡張する。さらには、既設の地震観測システムとの連携を図ることにより、精度の高いリアルタイム被害予測システムを構築し、減災に向けた事前対策や事後対策に結び付けることを目的とする。 H24年度は、南海トラフの巨大地震に対する名古屋市域内の強震動を推定するとともに、地盤と建物の非線形動的相互作用効果を考慮した、事務所建物や小学校建物の応答予測を行った。これにより、評価地点や建物種別によっては、通常の設計では考慮していない動的相互作用効果により、応答が増大することが明らかとなった。次に、解析モデルの作成に向けた大規模施設の常時微動計測を行い、振動特性を分析するとともに、火力発電所のような大規模群杭基礎に対する地震応答解析モデルの構築に着手した。複数の機関がこれまでに実施されたボーリングデータをできる限り収集し、デジタル化を行うとともに、解析に必要な地盤モデルの構築とデータベース化を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
建物の非線形応答解析については、南海トラフの巨大地震に対する、SRモデルによる応答予測を実施してきた。滑り、浮き上がりの幾何学的非線形性については、解析モデルを構築できているが、これらを用いた応答評価は今後の検討である。地盤データについては、既往のデータを含め、4万本程度がデジタル化された。以上の点から、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年に引き続き、モデルの構築及び、被害予測を実施する。また、研究で構築した新たな地震応答解析法を大地震後に発生する余震などよる応答予測が可能なモデル・手法に拡張する。これには、復元力特性の設定方法等が検討課題と考えられる。また、このモデルを用いて、各種シナリオに対する杭基礎建物の耐震性能を評価する。さらに、H24年度に引き続き、ボーリングデータをできる限り収集し、デジタル化を行うとともに、地盤データや地盤モデルのデータベース化を進める。 最終年度は、今年度までに作成する応答予測手法と既往の地震観測システムを統合し、新たなリアルタイム被害予測システムのプロトタイプを構築する。このシステムでは、災害時に観測された地盤の揺れを用いてH24,25年度に検討した、各種地震応答解析モデルや地盤モデルを駆使して、対象建物の即時被害予測を行うとともに、その後起こる可能性がある余震などに対する安全性を評価できるシステムとする。また、今年度に引き続き、ボーリングデータをできる限り収集し、データベース化を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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