2013 Fiscal Year Research-status Report
減災に向けた連続する大地震の揺れ・液状化に対する重要諸施設の詳細応答予測手法構築
Project/Area Number |
24560683
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
護 雅史 名古屋大学, 減災連携研究センター, 准教授 (40447842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福和 伸夫 名古屋大学, 減災連携研究センター, 教授 (20238520)
飛田 潤 名古屋大学, 災害対策室, 教授 (90217521)
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Keywords | 地震防災 / 耐震安全性 |
Research Abstract |
本研究では、被害が東海から近畿、四国、九州に広がるとも予測されている国難とも言うべき南海トラフで発生する巨大地震から、人の命を守り被害を最小限に留めるため、特に役所・学校や病院、エネルギー施設など、災害時に非常に重要となる諸施設の耐震性能について、大都市の人口が集中する軟弱地盤の挙動や建物を支える基礎と地盤との動的な相互作用効果を考慮した精度の高い地震応答解析の構築を通して明らかにする。また、巨大地震発生時だけではなく、その後の建物継続使用可能性判断に有効である、余震や誘発地震に対する被災後建物の応答予測が可能な手法にまで拡張する。さらには、既設の地震観測システムとの連携を図ることにより、精度の高いリアルタイム被害予測システムを構築し、減災に向けた事前対策や事後対策に結び付けることを目的とする。 H25年度は新たに、南海トラフの巨大地震に対する名古屋市域内の軟弱地盤に立地する杭基礎の小学校建物の液状化地盤における応答予測を行い、液状化を考慮することにより、建物応答が低減することが分かった。さらに、盛土地盤に立地する大規模施設に関する検討とともに、被害予測の高精度化を目指して、新たな強震動予測手法の検討も行った。H24年度に検討した、滑り、浮き上がりの幾何学的非線形性を考慮した解析モデルについて、モデルの見直しを行った。また、H24 に引き続き、ボーリングデータのデジタル化を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
建物の非線形応答解析については、南海トラフの巨大地震に対する、SRモデルによる各種建物の応答予測をH24年度に引き続き実施した。H25年度は新たに、大規模施設に関する検討や液状化現象を考慮した解析を実施した。被害予測の高精度化を目指して、新たな強震動予測手法の検討も行った。なお、滑り、浮き上がりの幾何学的非線形性については、解析モデルを見直したため、構築するところで留まっており、これらを用いての地震応答解析法を大地震後に発生する余震などよる応答予測が可能なモデル・手法に拡張した結果までには至らなかったが、準備を始めており、来年度も引き続いて実施する。以上の点から、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、H25年度にやや遅れていた、滑り、浮き上がりを考慮した地震応答解析法の開発を周辺の技術者らと協働して確実に実施することと、大地震後に発生する余震などよる応答予測が可能なモデル・手法に拡張して、被害予測を実施することを行う。その上で、南海トラフで発生する地震のいくつかの発生シナリオに対する建物応答評価を実施したい。最終年度となるので、応答予測手法と既往の地震観測システムを統合した、新たなリアルタイム被害予測システムのプロトタイプを目指す。
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