2012 Fiscal Year Research-status Report
角形鋼管柱に接合される合成梁の設計および構成法の合理化
Project/Area Number |
24560687
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
難波 尚 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30314503)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 柱梁接合部 / 合成梁 / 塑性変形能力 |
Research Abstract |
角形鋼管に接合される合成梁の塑性変形能力を把握する目的で,幅厚比が29の角形鋼管(□-350x12)にH-500x200x10x16の断面のH形梁を接合した部分骨組の載荷実験を実施した.実験変数は,スラブの有無とスラブと角形鋼管柱とスラブの間のクリアランス(50mm)の有無で,合計3体の実験を実施した. 通常の合成梁試験体では,スラブと梁の合成効果が生じることで正曲げ時の梁の初期剛性および終局耐力がそれぞれ,純鉄骨梁の2.28倍および1.08倍に上昇する一方で,累積塑性変形倍率については,純鉄骨梁が20であったのに対し,合成梁の場合は11で,概ね50%に減少した. 柱とスラブの間にクリアランスを設けた合成梁では,通常の合成梁に比べ正曲げ時の初期剛性に比べ30%の低下が生じたが,純鉄骨梁と比較すると1.56倍で,スリットを設けても合成効果による性能上昇が期待できる.正曲げ時の終局耐力については,通常の合成梁の7%の低下が生じ,概ね純鉄骨梁試験体と等しい結果となった.累積塑性変形倍率については,スリット合成梁試験体のみが脆性的な破壊モードを示し,その結果,累積塑性変形倍率の値は通常合成梁と等しい11となっており,スリットを設けることによる性能の改善は認められなかった. 梁端部の歪性状については,通常合成梁の下フランジの歪は純鉄骨梁試験体の2倍程度の値が生じており,累積塑性変形倍率に及ぼす合成効果と同様の結果が確認された.一方,柱とスラブの間にスリットを設け,スラブと梁の合成効果を低減した試験体では,梁端部の歪がスリットを設けない通常の合成梁の1/2程度に緩和され,下フランジの歪集中軽減に効果的であることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
幅厚比の大きな角形鋼管に接合される梁の塑性変形能力に及ぼすスラブと梁の合成効果が大きいことを確認し,柱と梁の間にスリットを設けることで下フランジの歪集中が緩和されることを実験および有限要素解析で確認した.しかし,実験においてスリットを設けることによる合成梁の塑性変形能力の改善効果を示すに至っていない.これは,スリットを設けた合成梁試験体のみが脆性的な破断を示したためである.スリットを設けることによる変形能力の改善効果を明らかにするために,脆性的な破壊性状を示した原因を明らかにするとともに,スタッド配置等を変化させた実験を実施し,スリットを設けることによる変形能力改善効果を実験により検証を今後実施する.
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Strategy for Future Research Activity |
合成梁の塑性変形能力に及ぼす角形鋼管柱の幅厚比の影響を明らかにするための載荷実験および有限要素解析を実施する.また,角形鋼管柱に接合される合成梁の塑性変形能力を改善する工法として,柱とスラブの間にスリットを設ける工法について,スタッド配置の影響を検討するための実験を実施する他,有限要素解析により系統的な検討を実施する. また,新たな合成梁の塑性変形能力改善方法として,角形鋼管柱と梁ウェブの接合部において,角形鋼管の面外変形を補剛するための水平スチフナ―を設けた載荷実験および有限要素解析を実施し,効果的な塑性変形能力改善方法の検討を実施する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
角形鋼管柱の幅厚比を小さくした角形鋼管柱合成梁部分架構の試験体およびスリットを設けた試験体でスタッド配置を変化させた試験体,梁ウェブ接合部に水平スチフナ―補剛を施した試験体の計3体の試験体製作費用に充てる他,有限要素解析ソフトのライセンス料に充てる.
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