2013 Fiscal Year Research-status Report
角形鋼管柱に接合される合成梁の設計および構成法の合理化
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24560687
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
難波 尚 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30314503)
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Keywords | 合成梁 / 角形鋼管柱 / 塑性変形能力 |
Research Abstract |
角形鋼管柱に接合される合成梁の塑性変形能力に及ぼす角形鋼管柱の幅厚比の影響を検討する目的で新たに幅厚比22の場合の実験を実施した.H24年度に実施した幅厚比29の試験体では累積塑性変形倍率は11であったのに対し,新たに実施した幅厚比22の試験体では,3.98倍の増加し,角形鋼管フランジの面外変形に起因する梁ウェブ接合部の応力伝達性能の大小が塑性変形能力に著しい影響を与えることを確認した.また,実験結果を良く再現する有限要素解析モデルを構築し,梁ウェブ接合部の応力伝達性状と角形鋼管幅厚比の関係を調べ,下フランジの歪集中のメカニズムを解明した. 有限要素解析の検討結果を基に,ファイバ要素による合成梁の線材要素に,角形鋼管柱の幅厚比が梁下フランジの歪集中に与える影響を考慮可能なモデル構築を実施した.新たに構築した合成梁線材要素に,低サイクル疲労モデルを用いることで,梁の破断を再現するモデルを構築した. また,スラブと柱の間にスリットを設けて,梁端部の合成作用を低減するスリット型合成梁について,スタッド配置を変化させた実験および有限要素解析を実施し,柱から梁せいの範囲で直交梁のスタッドを配置しないことで,純鉄骨梁と同程度の累積塑性変形能力を発揮することを確認した.一方で,スリット型合成梁の初期剛性は,スリットを設けたことにより通常の合成梁の64%に低下し,概ね純鉄骨梁の弾性剛性と一致した.弾塑性有限要素解析により,スリット型合成梁の弾性剛性の低下を防止する目的で梁端から梁せいの距離に支圧板を設けたモデルについて検討を実施したが,弾性剛性の向上効果は殆ど得られないことが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
角形鋼管柱の幅厚比が合成梁の塑性変形能力に及ぼす影響について詳細な応力伝達性状の観点から整理するとともに,骨組解析に用いるための下フランジの破断現象を考慮した合成梁要素の構築した.また,角形鋼管柱に接合される合成梁の塑性変形能力を十分に確保する上で柱とスラブにスリットを設けるスリット型合成梁工法の有効性を示すとともに,十分な塑性変形能力を確保する上では,梁端から梁せいの範囲で直交梁にスタッドを設けないようにする必要性があることを明らかにした.以上より,概ね研究計画で設定した目標を達成していると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
スリット型合成梁とすることで,梁の変形能力を十分に確保することが出来たが,初期剛性の低下を防止することは,困難であると判断された.角形鋼管柱の幅厚比をある程度小さくすることで,十分な変形能力が得られることが判明した.今後は,柱の幅厚比が29の場合について,梁ウェブ接合部に補強水平スチフナを設け,柱フランジの面外補剛をすることで,梁の初期剛性の低下を生じることなく,梁の塑性変形能力を十分に確保する新たな工法の検討を実施する.
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