2012 Fiscal Year Research-status Report
新しい微動アレー観測手法・CCA法の実用化に関する研究
Project/Area Number |
24560688
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
神野 達夫 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (80363026)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 微動アレー観測 / 地下構造 |
Research Abstract |
本研究は、地下構造探査手法の一つである微動アレー観測による記録の解析手法として、近年新しく開発されたCCA法の実用化に向けて、、既往の研究等により地下構造や表面波の位相速度が明らかな地点での新たな観測および既存の微動アレー観測データから、CCA 法の表面波位相速度の推定精度、適用範囲、観測作業の効率化の検証等を行う。 本年度は微動アレー観測の解析方法として従来から広く用いられているSPAC法の適用を前提とした観測によって得られた記録をCCA法で解析することで、表面波位相速度の推定精度、適用範囲について検証を行った。またその際、解析に利用できる微動記録かどうかの判定方法についても検討を行い、SPAC法による再解析も同時に行った。 その結果、CCA法とSAPC法によって抽出された表面波の位相速度の波長の幅については、両者に大きな違いは見られなかった。しかしCCA法によって抽出された表面波位相速度の波長範囲は、SPAC法のそれよりも長波長側にシフトしており、同一半径のアレーにおいて、SPAC法よりも深部の地下構造に関する情報を得ることが可能であることが、実測データを用いて確認することができた。これは微動アレー観測の効率を向上させる可能性を示唆している。しかし、CCA法の短波長域における解析性能はSPAC法に比べて低い結果となり、微動アレーの設定や観測環境の良し悪しによっては解析性能がSPAC法に劣る可能性もあるということも確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請者は、研究を申請した当時は広島大学に在籍していたが、平成24年4月に九州大学に異動した。このことにより、研究を実施する環境をゼロから再構築する必要が生じ、その整備に時間がかかったこと、ならびにこの異動により当初研究に協力してもらう予定であった学生に協力を依頼できなくなったことから、当初計画していた過去の観測に関する情報の電子化と広島市内における観測を実施することができなかった。以上の理由により、「(3)やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は計画していた研究内容の内、過去の観測に関する情報の電子化とPS検層によって地下構造が明らかな地点でCCA法の適用を前提とした微動アレー観測を実施することができなかった。この理由は先にも述べたように、申請者の異動に伴い、研究を実施する環境の整備の時間を要したことと研究に協力してもらう予定だった学生アルバイトがいなかったことによる。しかし、研究環境は概ね整い、研究に協力してもらう学生アルバイトにも目途が立ったため、来年度はまず過去の観測に関する情報の電子化と上記の観測の実施がまず第一の目標となる。ただし、観測地点については申請当時は広島大学に在籍していたため、広島市内での観測を予定したいたが、九州大学に異動したため、福岡市内での観測に変更する。 さらに、過去にSPAC法の適用を前提に観測を行った小田原市ならびに苫小牧市において、CCA法を前提とした観測を実施し、観測における作業量や表面波位相速度の推定精度、位相速度が推定可能な表面波の波長範囲に関する総合的かつ定量的な評価を行う。なお、これらの実施においては、学生アルバイトの協力を得る予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じたのは、申請者の職場の変更により、当初予定していた広島市内における微動アレー観測を実施できなかったことが主な理由である。この観測については次年度実施する予定である。ただし、この観測の目的はPS検層によって得られた地下構造モデルから算出された理論位相速度と観測による位相速度の比較をすることであるため、PS検層結果が存在する場所であればよく、広島市内である必要はない。そこで、現在申請者は九州大学に在籍していることを踏まえ、この観測は福岡市内での実施に変更する。 また次年度は、上記の観測に加え、小田原市ならびに苫小牧市において、CCA法を前提とした観測を実施することを計画していることから、次年度の研究費の大半はそれに関わる旅費と謝金に利用されることになる。
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