2013 Fiscal Year Research-status Report
新しい微動アレー観測手法・CCA法の実用化に関する研究
Project/Area Number |
24560688
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
神野 達夫 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (80363026)
|
Keywords | 微動アレー観測 / SPAC法 / CCA法 / 地下構造 |
Research Abstract |
本研究は、地下構造探査手法の一つである微動アレー観測による記録の解析手法として、近年新しく開発されたCCA法の実用化に向けて、既往の研究等により地下構造や表面波の位相速度が明らかな地点での新たな観測および既存の微動アレー観測データから、CCA法の表面波位相速度の推定精度、適用範囲、観測作業の効率化の検証等を行う。 本年度は、昨年度に引き続き、微動アレー観測の解析方法として従来から広く用いられているSPAC法の適用を前提とした観測によって得られた記録をCCA法で解析することで、表面波位相速度の推定精度、適用範囲についての検証をさらに観測点を増やして行った。さらに、以前、SPAC法での解析を前提に微動アレー観測を行った苫小牧市とその周辺地域において、CCA法の適用を前提した微動アレー観測を行い、以前のSPAC法での解析結果と今回のCCA法での解析結果の比較を行った。 その結果、SPAC法の適用を前提としたアレーの解析では、昨年同様、CCA法によって抽出された表面波位相速度の波長範囲は、SPAC法のそれよりも長波長側にシフトしており、同一半径のアレーにおいて、SPAC法よりも深部の地下構造に関する情報を得ることが可能であることが確認された。また、CCA法の適用を前提としたアレーの解析では、0.5Hz程度より高周波側の位相速度を推定する場合にSPAC法では250mのアレー半径が必要であったのに対してCCA法では10mのアレー可能であった。つまり、同じ深さまでの地下構造を推定したい場合、CCA法ではアレーサイズを大幅に小さくすることが可能であるということであり、観測の効率を大幅に向上させることが可能であることが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一部実施できていない観測はあるが、SPAC法の適用を前提した微動アレー観測データならびにCCA法の適用を前提とした微動アレー観測データについて必要最低限のデータは揃えることができ、相互の様々な比較検討が実施できている。またその結果として、概ね想定された結果が得られつつある状況であることから、現在までの達成度としては「おおむね順調に進展している」と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年となるため、現在までに得られている結果をさらに補強するデータ取得や全体の総括を行う予定である。具体的には以前にSPAC法の適用を前提に微動アレー観測を実施した金沢平野等においてCCA法の適用を前提とした微動アレー観測を行い、双方の観測データをSPAC法、CCA法の両方で解析し、その結果を比較する。また、実際に観測を行う際の効率についても検証を行う。さらにこれまでの成果を総括し、報告書としてまとめると同時に、学会での発表することにより成果を公表する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じた理由としては、これまでの観測データの整理を行う際に生じる謝金が消化できていないことが挙げられる。このデータ整理は、一段階目として申請者がおおよその整理をした後に、二段階目として学生アルバイトを雇って実施する予定であったが、申請者が行うべき作業に予想以上の時間がかかり、学生アルバイトに頼む段階まで達しなかったことが要因である。 上記の一段階目の作業は概ね終了していることから、次年度は学生アルバイトを雇用して、データ整理作業を進める予定であり、発生した「次年度使用額」は支出される予定である。
|
Research Products
(1 results)