2013 Fiscal Year Research-status Report
既存メーソンリー建築物の耐震性能評価および耐震改修技術の開発
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24560690
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
菊池 健児 大分大学, 工学部, 教授 (50117397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒木 正幸 大分大学, 工学部, 助教 (10295165)
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Keywords | 補強コンクリートブロック造 / メーソンリー / 耐震診断 / 耐震改修 / 構造実態調査 / 耐力壁 / 直交壁 / 耐震性能評価 |
Research Abstract |
本研究では既存補強コンクリートブロック造(以下,補強ブロック造)建物を対象とし,その耐震性能の評価と耐震診断や耐震改修に関する技術を開発することを目的としている。2年目の平成25年度に実施した研究の概要と成果を以下に示す。 1.2011年東北地方太平洋沖地震により被災した,岩手県にある補強ブロック造建物2棟の被害調査を行った。1棟は2階建ての病院で震動により被害を受けた建物で,もう1棟は2階建ての住宅で津波により被害を受けた建物である。この調査により既存補強ブロック造建物の構造実態や劣化状況,および耐震性能に関する資料を収集することができた。 2.直交壁が補強ブロック造耐力壁の終局強度などの耐震性能に及ぼす影響の究明することが,補強ブロック造耐力壁の耐震性能評価における重要な課題となっている。そこで,直交壁の影響を検討するための壁体の水平加力実験を計画し,平成25年度は2体のせん断破壊型試験体の実験を実施した。その結果,耐力壁の最大耐力および変形性能に対して直交壁の効果が確認された。 3.平成24年度に現地調査を行った大分県内にある公営住宅3棟の保有水平耐力を算定し,耐震性能を検討した。その結果,直交壁の影響,組積体の材料強度の影響,地震力の加力方向の違いによる影響などについて,耐震性能評価に関する指針等を作成する上で有用な知見が得られた。 4.2013年度日本建築学会大会で「既存コンクリートブロック造の地震被害と耐震診断法」と題するパネルディスカッションを中心となって企画し,主題解説のひとつとして補強ブロック造に関する本研究の成果を含む発表を行い,討議を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存補強ブロック造建物の構造実態や劣化状況,および耐震性能に関する現地調査は,平成24年度の大分県内の公営住宅3棟に加え,平成25年度おいては,2011年東北地方太平洋沖地震により被災した補強ブロック造建物2棟の被害調査を行っており,順調に実施できた。 補強ブロック造耐力壁の耐震性能に及ぼす直交壁の影響に関する水平加力実験は,予定どおり実施できている。 既存補強ブロック造建物の耐震性能評価法に関する検討は,平成24年度に日本建築学会設計規準設計例建物2棟および既往の実在建物水平加力実験結果を用いた検討を行い,平成25年度はさらに大分県内にある公営住宅3棟の調査結果を加えて検討を進めた。 以上のように,本研究の目的を順調に達成してきている。
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Strategy for Future Research Activity |
計画に即しておおむね順調に研究が進展しているので,最終年度である平成26年度も当初計画に沿って研究を推進する。平成25年度から実施している直交壁を有する耐力壁の耐震性能実験ついては,直交壁の長さおよび軸力の異なる試験体を製作して実験を行い,実験資料を充実させる予定である。また,3年間の調査,実験ならびに解析による本研究の結果を総合して,既存補強ブロック造建物の耐震診断方法や耐震改修方法について検討し,とりまとめを行う。
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Research Products
(6 results)