2012 Fiscal Year Research-status Report
クラックパスの制御に基づくコンクリート補修材料の付着性向上技術開発
Project/Area Number |
24560691
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
山田 寛次 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (50315628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石山 智 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (80315647)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | コンクリート / 界面付着 / 補修工事 |
Research Abstract |
(1)材料の物性値測定:骨材の切り出し試験体にモルタルを接着した試験体を製作し、骨材周りの遷移帯の力学性能を評価した。ここで求めた遷移帯の物性値は、ほぼ鉛直な面に対するもので粗骨材の引き抜けに関わるだぼ効果は含まない値で、Ft(引張強度):3.9MPa,GF(破壊エネルギー):23N/mとなった。また同時に、破壊靭性試験を行った試験体毎に三次元測定機を用いて破面の高さ分布を求めた。両者の関係を求めたところ、破面高さに関する標準偏差と曲げ強度、破壊エネルギーの相関が高いことが分かった。このことについて、日本建築学会の支部大会で発表した。 (2) 補修材料の開発:市販の補修材料(ポリマーセメントモルタル(S社製、AFa))をベースとして補修材を変性、調合した。水セメント比(W/C)を50%、砂セメント比(S/C)を157%として調合した。このAFaを基準とし、調合条件や養生方法を変化させ、計18水準設けた。養生は実施工に近い条件である封緘養生として、28日間実施した。これらの中には、低強度化を狙ったもの、逆に高強度化、高靭性化を狙ったもの、その両方を狙ったものがある。試験体寸法は全て4×4×16cmとし、試験体中央部に切り欠きを設けて破壊靱性試験を行い、逆解析により引張軟化曲線を求めた。それらの水準から最大荷重が最も大きかった水準、低強度の水準、曲げ強度と破壊エネルギーの高い水準などを選定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
補修材料の変性を行った試験結果から、市販の補修材料よりも強度の高い水準や破壊エネルギーの高い水準を見出すことができた。また基盤コンクリートの表面性状、目荒らし程度などの条件を様々に変化させた基盤コンクリートを作製し、表面凹凸を計測することにも成功した。1日後の目荒らしと28日後の目荒らしとで基盤コンクリートの高さの標準偏差が0.3mm(1日後)と0.6mm程度(28日後)と二倍の違いになった。この界面の違いにより、補修後試験体の強度は50%程度、破壊エネルギーは100%程度の違いが生じることも明らかになった。これらのことは平成25年度の研究にとって極めて重要な基礎的な事柄であり、研究の方向性を示すものである。 また解析面では、遷移帯の物性値が特定でき、著者らが開発したKATモデルを用いた解析が順調に進み始めた。特に目荒らしの状態によって強度や破壊エネルギーが向上する理由を解析的に明らかにできるようになったことは大きい。このことでひび割れを界面よりも補修材料側に誘導する条件を調べるためのシミュレーションが可能になった。このことで効率的な実験に取りかかることができると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 界面と補修材料に関するシミュレーション:ひび割れを界面よりも補修材料側に誘導する条件を調べるためのシミュレーションを行う。界面の凹凸と補修材料の強度、および補修材料内部に導入した不均一の程度を変えながら最適な条件を調べる。 (2) 補修材料の開発:界面強度とバランスの取れた補修材料の開発を行う。あわせて補修材料側にひび割れを誘導するため、補修材料の強度を下げる方法の検討を行う。つまり均一に強度を低下させるのではなく、不均一に分散させた材料により、ひび割れの導入を図る。このことにより界面の強度はある程度保ったままで、界面近くにある不均一に分散した特殊材料側にひび割れを誘導できると考えられる。 (3) 補修した試験体の実験:開発した補修材料を用いてプリズム試験体を製作し、破壊靱性試験を行って、所要の強度と破壊エネルギーが得られるか、評価する。試験体の大きさは、10cm角で長さ20cmとし、二つ合わせて補修材料で接着し、評価する。中央部にはノッチを入れ、上部のリガメント部5cmを評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1) 物品費:特に補修材料側にひび割れを誘導するため、補修材料の強度を下げるための新規な材料を探索する。あまり細かいものは均一に強度を下げるため、細骨材程度の大きさのものを中心に探索する。市場に無ければ、自作する。またプリズム試験体用の補修材料と樹脂を購入する。研究費の大半はこれら消耗品の購入に充てる。(550千円) (2) 旅費:研究発表と情報収集を兼ねて補修に関する国内学会に出席する。出張回数は、東京に1回、京都に1回の予定である。(100千円) (3) 人件費:試験体の製作とデータまとめに学生アルバイトを使用する予定である。延べで50時間程度を予定している。(50千円)
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Research Products
(1 results)