2013 Fiscal Year Research-status Report
クラックパスの制御に基づくコンクリート補修材料の付着性向上技術開発
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24560691
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
山田 寛次 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (50315628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石山 智 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (80315647)
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Keywords | ポリマーセメントモルタル / 補修材料 / 界面 / 破壊靱性試験 / 強度 / 靱性 / コンクリート |
Research Abstract |
(1) 補修材料の開発:24年度に引き続き、市販の補修材料(ポリマーセメントモルタル(S社製)をベースとして補修材を変性、調合した。ベース材料の水セメント比を50%、砂セメント比を157%として調合したのは、昨年と同じであるが、骨材に工夫をした。骨材は直径が0.8mmと0.2mmの二種類で、弾性率と密度が異なる市販のものである。それらの単独使用だけでなく、混合を含めて、合計41水準の組み合わせの骨材をもとに、補修材試験体を作成した。養生は実施工に近い条件である封緘養生で、28日間実施した。試験体寸法は全て4×4×16cmとし、試験体中央部に切り欠きを設けて破壊靱性試験を行い、強度と靱性を評価した。それらの水準から最大荷重が最も大きかった水準、曲げ強度と破壊エネルギーの高い水準などを選定した。 (2) 補修後試験体の製作と評価:上記(1)で開発した補修材料を中央部に塗布したコンクリート試験体を製作した。補修材を塗布する部分の目荒らし状況と補修材を変え、試験体は合計18水準としている。養生は封緘養生として、補修材の塗布後、28日間実施した。試験体寸法は全て10×10×40cmとし、試験体中央部に切り欠きを設けて破壊靱性試験を行い、強度と靱性を評価した。その結果、補修後試験体の中に、靱性の面で母材コンクリートを上回る(114%)性能を持つものを見出すことができた。しかし、その場合でも強度は母材コンクリートの44.2%に過ぎなかった。 (3) 補修後試験体の強度向上策の検討:上記(2)の実験結果を様々な観点で検討した結果、補修材の平均的な密度や弾性率と強度が関係することが分かった。 以上の検討の内容と結果をまとめた論文を3編(邦文2編、英文1編)、外部発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
合計41水準の中から選定した補修材料を用いて、補修後試験体を18水準製作した結果、一体打ち母材コンクリートの靱性(破壊エネルギー)を越える水準が見出せた。現在の所、強度の面では母材コンクリートの44.2%と、遙かに及ばない。しかし、補修後試験体の強度を支配する要因が分かってきたので、今後その面での改善が進められると考えている。従って、ほぼ順調に開発が進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 界面近傍の非均質性とクラックパスの関係の検討:ひび割れを界面よりも補修材料側に誘導するための検討を行う。26年度は、特に補修材料内部の骨材による非均質性の程度を変えながら最適な条件を調べる。部分モデルによるFEM解析を行い、最適な骨材の条件をシミュレーションする。 (2) 補修材料の開発:平均密度と平均弾性率に着目して、界面強度とバランスの取れた補修材料の開発を行う。その時、非均質に分散させた骨材により、ひび割れの導入を図る。つまり界面の強度はある程度保ったままで、界面近くにある補修材の骨材側にひび割れを誘導できることを目指す。 (3) 補修後試験体の実験:開発した補修材料を用いて補修したプリズム試験体を製作する。試験体の大きさは、全て10×10×40cmとし、試験体中央部に切り欠きを設けて破壊靱性試験を行い、所要の強度と破壊エネルギーが得られるか評価する。多数の試験体により、平均値だけでなくばらつきもあわせて評価し、性能表示をする。 (4) 開発成果のまとめ:最終的に補修工事の設計施工技術の指針となるようにまとめて、外部発表する。
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Research Products
(5 results)