2012 Fiscal Year Research-status Report
宅地地盤の電気比抵抗による土質の判別法に関する研究
Project/Area Number |
24560697
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
藤井 衛 東海大学, 工学部, 教授 (70130094)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
平成24年度は、電気検層法による土の判別の可能性を検討することを目的に、笠岡粘土と硅砂7号を質量比として配合した人工土11種類と東久留米、越谷、春日部、八王子及び上落合にて採取した自然土5種類に対して、間隙水(塩化カリウム溶液)濃度を0.0001規定、0.001規定、0.05規定、0.1規定及び1規定の5種類を混合させ、土の比抵抗と間隙水の比抵抗及び土の細粒分含有量との関係を調べた。比抵抗の計測にあたっては、φ5cm×10cmのプラシチック製のモールド型枠に試料土を一定の密度になるように締固め、その後、直径1cm、深さ7.5cmの孔を設け、その中に市販の電気伝導率計の電極を挿入した。まず、この計測を11種類の人工配合土に対して実施した。その結果、同一種類の土において、間隙水の比抵抗が大きいほど土の比抵抗は大きく、また土の比抵抗と間隙水の比抵抗との関係は両対数紙上で直線関係をなし、かつ砂分含有量が多い土ほど直線勾配が大きくなることを見出した。この関係は、自然土においても成り立つことを確認した。 以上から、上記の関係をもとにすると、実地盤においてスウェーデン式サウンディングの孔に電極を挿入し、比抵抗を計測することができれば、土の細粒分の量を推定することができることになる。これまで、電気検層法は自然地盤のサンドシームの発見等に利用するだけであったが、今回の発見により、土質判別法としての適用性を見出すことができた。また、宅地地盤の液状化評価法として適用できる確信を得ることができた。さらに、本年度は孔の径と電極径との違いが比抵抗に及ぼす影響を明らかにし、その補正方法を見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請の段階では、土の比抵抗と間隙水の比抵抗との関係は土の種類によって異なると予想されるので、砂質土と粘性土の境界がどこにあるかを明らかにすることが目的であった。平成24年度は上記のことを明らかにすることを目的に室内実験を行ったものであるが、実験の結果から、土の比抵抗と間隙水の比抵抗及び土の細粒分含有量との間には、密接な関係があることを見出した。そして、3者の関係を結びつける評価式を提案できるまでに至った。この関係は自然土にも適用できることを確認した。以上から、今後、実現場で比抵抗を計測してゆく中で、基本となる土の判別手法の評価式を作成できたことは、非常に意義があり、研究の核心を得ることができたと考えている。この3者の関係は、これまで、この分野の研究では議論されていなかったため、画期的な発見といえる。また、これまで、計測孔と電極径との関係も議論されていなかったが、今回の研究により、両者間の径の比率にある補正係数を乗じることによって、孔径が比抵抗に及ぼす影響を考慮することができるようになった。 以上のように、初年度は2年目からの実現場測定を目的に室内実験を行ってきたが、予想以上の成果を得ることができ、土の物理的性質と土の電気的性質を結びつけることができた。この成果は、日本建築学会論文集に投稿する予定である。また、孔径と電極径の比率が比抵抗に及ぼす影響を明らかにしたことは、今後の現場計測にあたって、非常にスムーズに研究を進めることにつながると確信している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、現場計測用の電極を開発し、かつ計測方法を確立する。スウェーデン式サウンディング試験(以後SWS試験と呼ぶ)孔に電極を挿入するにはSWS試験機のスクリューポイント部分を電極に取り換えることを考えている。また、計測に関しては、ロッド内部を中空にし、コードをロッドの中に通すことを考えている。電極は4極法にする予定であるが、試験前には市販の電極とのキャリブレーションが必要であり、検定溶液として濃度を変えたいくつかの種類の塩化カリウム溶液を使用することを考えている。 現場測定用電極の開発にあたっては、東海大学湘南校舎の地盤に3m程度のSWS試験孔を設けて、基礎的実験を行う予定である。特に大きな問題となるのは、地下水が存在しない場合である。基本的にこのような場合は、計測が不可能になるので、逆に孔に電解質溶液を投入し、十分に周辺地盤に浸透させた後に計測を行うことになる。この際、浸透に際してどの程度の時間を見込めばよいかが研究の要となる。恐らく、地盤の種類によって浸透時間が異なると考えられるので、基礎的な室内実験の追加が必要となる可能性がある。同時に自然地盤の計測にあたっては、計測が長引くと孔が閉じる可能性があるので、迅速に計測を行う必要がある。そのためには、パーソナルコンピューターを使用して自動計測ができるようにしたいと考えている。また、本研究では間隙水の比抵抗を計測することも必要になるので、どのように間隙水を採取するかも重要な問題となる。特に、SWS試験孔は33mmしかないため、そこから採取器を挿入するのはかなり難しく、むしろ孔に極細径の電極を挿入する方が現実的とも言える。この点も視野に入れて、現場計測方法の確立を目指したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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