2013 Fiscal Year Research-status Report
宅地地盤の電気比抵抗による土質の判別法に関する研究
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24560697
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
藤井 衛 東海大学, 工学部, 教授 (70130094)
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Keywords | 電気比抵抗 / 砂質土 / 粘性土 / スウェーデン式サウンディング / 細粒分含有率 |
Research Abstract |
これまで、5種類の自然土に、間隙水濃度を0.0001規定、0.001規定、0.05規定、0.1規定及び1規定に変化させた溶液を混入させ、土の比抵抗と間隙水の比抵抗及び土の細粒分含有率との関係を調べた。その結果、間隙水の比抵抗が大きいほど、土の比抵抗が大きく、また土の比抵抗と間隙水の比抵抗との関係は、両対数紙上で直線関係をなし、かつ細粒分含有率が多い土ほど直線勾配が大きくなることを見出した。 平成25年度では、さらに自然土の種類を増やし、計56種類の土について上記の関係を検討した。その結果、土の比抵抗と間隙水の比抵抗との比率から、土の細粒分含有率を評価できる実験式を導き出すことができた。この実験式は、あくまで室内実験レベルのものであるため、実現場での実証実験を行った。場所は、神奈川県平塚市の丘陵地である。まず、深さ3mまでスウェーデン式サウンディング試験を実施し、設けた孔に各種の規定濃度の塩化カリウム溶液を注ぎ込み、そこに電極間隔5mmの4極法による特殊な電極を試験機の先端部の直上に組み込み、地盤内の比抵抗が正確にとらえられるかどうかを調査した。電流は交流とした。また、実験時にスクリューが回転を伴うため、コードが回転してしまうことがわかり、これを解決するため、試験機のロッドの頭部に特別なコネクターを接続してスクリューが回転してもコードを固定する方法を開発した。 孔内の鉛直方向の測定ポイントは8点であり、あらかじめ、比抵抗を計測する前に近傍でサンプリングにより土を採取して、室内にて細粒分含有率を求めておいた。そして、比抵抗の計測結果をもとに室内実験から提案した細粒分含有率算定式による値と実測値を比較してみたところ、両者はおおむね一致していることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究により、室内実験から求められた土と間隙水の比抵抗から求められる土の細粒分含有率推定式は実現場においても十分に適用できることを明らかにした。この比抵抗から得られる推定式の精度はきわめて高いものであり、それだけ、比抵抗は土の粒度の大きさを敏感に反応するものであることが明らかにされた。平成24年度と平成25年度の研究により、一応の室内レベルでの実験は終了した。あとは、現場での計測方法の問題のみを残している。現在、コードレスの電極の使用を考えたり、各種の実地盤での計測を視野に入れた準備を進めている。もし、コードレスの電極が開発できれば、いかなる軟弱地盤でも電極をそのまま自然地盤に挿入しながら比抵抗を計測できることになる。すでに、いくつかの液状化が発生した地盤で、予備実験を行っているが、推定式の適用性が十分に認められる精度で使用できる見通しをつけている。 以上のように、本研究はおおむね順調に進展しており、平成25年度の研究内容は地盤工学会研究発表会、日本建築学会大会にて発表予定である。また、室内実験結果の内容は、平成25年11月に東海大学紀要工学部に掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は現場実験にあたって、1現場のみを対象に比抵抗による細粒分含有率の推定式の適用性について検討を行ってみた。その結果、きわめてその推定式の適用性は高いことは実証できたものの、この地盤は丘陵地の粘性土地盤であり、しかも地下水が存在しないため、孔中を規定濃度の溶液で満たした状態での実験であった。本研究の最終目標は、液状化が発生する地盤であるかどうかを見極める方法を確立することにある。したがって、これからは、砂地盤や粘土地盤等数多くの地盤において実験を行う必要がある。また、地下水位の浅い地盤においては、スウェーデン式サウンディング試験機で孔を設けても、電極挿入時には孔壁が崩壊する可能性も考えられる。したがって、電極を挿入しながら、比抵抗を計測できるような試験が望ましい。この点について、現在、コードレスの電極を開発中であり、これが実現すれば、液状化が発生するような地下水位が浅い砂地盤でも計測が可能になる。現在、予備実験を行っているが、かなり実用化に近づきつつある。 なお、実地盤においては、間隙水は自然の地下水であることから、その地下水をどのように採取するかも大きな問題となる。スウェーデン式サウンディング試験孔が自立すような地盤であれば地下水を汲み上げることも1つの方法であるが、自立しないような地盤であれば真空ポンプ等を使用して水を汲み出し、地上にて電気伝導計を使用して地下水の比抵抗を求めることも考えている。
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Research Products
(3 results)