2014 Fiscal Year Annual Research Report
耐震補強された鉄筋コンクリート造建物の高精度安全性評価システムの構築
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24560698
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
白井 伸明 日本大学, 理工学部, 教授 (90060144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田嶋 和樹 日本大学, 理工学部, 准教授 (60386000)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 鉄筋コンクリート / 耐震補強 / 鉄骨ブレース補強 / 補強効果 / 破壊実験 / FEM解析 / ファイバー解析 / 構造スリット |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,昨年度に設計した1層2スパンRC造骨組試験体ならびに鉄骨ブレース補強後RC造骨組を製作し,それらに対して正負交番繰り返し載荷実験を実施した。なお,これらの試験体は,旧基準で設計されたRC造学校校舎をモデルとしており,そこから抽出した1層2スパン模した縮小骨組試験体である。この試験体は,コンクリート強度が低く,また帯筋量も少なく,さらに垂壁・腰壁が取り付くため柱は極短柱となり,柱がせん断破壊を生じやすい。また,主筋には丸鋼を用いている。鉄骨ブレース補強に際しては,構造スリットの有無に着目し,耐震補強効果を比較した。以下に本年度の研究実績の概要を示す。 (1)鉄骨ブレース補強により,本試験体では耐力ならびに変形性能の向上が認められた。特に,構造スリットを設けない方がより耐力が向上した。一方,構造スリットを設けた場合,大幅な変形性能の向上を期待したものの,実際には構造スリットを設けない試験体と同程度であった。 (2)構造スリットを設けた試験体では,一般的に耐震補強設計において想定されていない柱-鉄骨間において破壊が進展し,結果として鉄骨ブレースに入力するせん断力が減少した。 (3)丸鋼の付着すべり挙動の影響により,最大耐力時の変形が大幅に増大した。このことは,丸鋼の付着すべり挙動の有無をパラメータとしたFEM解析結果においても確認された。 また,3年間の研究期間全体を通じて,①鉄骨ブレース補強の抵抗機構の解明とそれに基づく数値解析モデルの構築,②数値解析に基づく鉄骨ブレース補強後RC造骨組の耐震性能評価手法の開発,③実験に基づく提案手法の検証の3点を実施した。特に,開発した数値解析モデルは,実験に基づく検証を通じて確認された改良点を反映する必要はあるが,耐震補強された実際のRC造建物に対して想定地震動を入力した地震応答解析を通じて実際的な耐震性能評価が可能である。
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