2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24560699
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
趙 衍剛 神奈川大学, 工学部, 教授 (50283479)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 地震最大応答 / 安全性評価 / 信頼性指標 |
Research Abstract |
最大地震応答の分布形を同定することは不規則振動理論及び構造耐震信頼性評価の基本的な問題であり、既往研究では弾性応答を対象として確率過程の交叉の問題から理論的に導かれることがほとんどである。これまでの誘導は理論的で厳密であるが、地震動を定常ガウス過程、ホワイトノイズなどとして厳しく仮定しなければならず、現実と掛け離れることが多く、弾塑性地震応答を考慮する終局限界に対応できなくなる。そこで本研究では最大地震応答の統計特性である平均値、標準偏差、歪度及び尖度などのモーメントを求める方法を構築し、分布形の位置、肥満度、非対称性及び頂点の鋭さの4つの特徴を表すこれらのモーメントによる最大地震応答の確率密度近似を行い、これまでの厳しい仮定に依存せずに、弾塑性応答も考慮できる耐震信頼性評価法を提案することを目的とする。 本年度では先ず数多くの地震波を収集し、弾性1自由度系を対象とし、基準化した地表面加速度で大量の地震応答解析により、最大地震応答のデータベースを構築した。収集したデータの統計処理を行い、それらのヒストグラムを描き、平均値、標準偏差、歪度及び尖度などのモーメントを求め、最大地震応答のヒストグラムとモーメントの関係を考察する。さらに、数多くの地震記録を収集して、同様に地震応答解析を行い、得られた最大地震応答のヒストグラムと比較し、前述の関係を検証した。また、既存の極値分布形と正規分布の関係から歪度を含む標準正規変換を導き、上述のヒストグラムと高次モーメントの関係を比較しながら標準正規変換の解析式を修正した。最大地震応答の非正規性が強いと予想され、尖度の影響が無視できず、4次モーメントに基づく標準正規変換も新たに導出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画書通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
1). 最大地震応答の高次モーメントに基づく標準正規変換の検証。既存極値分布形と標準正規分布との関係に基づいて、高次モーメントに基づく標準正規変換及び逆標準正規変換を検討し、収集された数多くの最大地震応答の統計データに応用し、十分検証する。これまでの厳しい仮定で得られた最大地震応答分布と比較検討し、各仮定が最大応答の分布形への影響を明らかにする。 2). 最大地震応答の3、4次モーメントの算出方法の構築。最大地震応答の確率分布形が3、4次モーメントをパラメータとしているため、耐震信頼性解析を行うために、最大地震応答の高次モーメントを算出する必要がある。当然ながら最大地震応答を確率変数の関数として高次モーメントを求めることは極めて困難であることが周知の事実である。点推定法では感度解析及び繰り返し計算は必要としないが、確率変数の数が多くなるとき、精度が維持できなくなることが欠点である。ここでは、この欠点を克服するために、確率変数の関数を2次Taylor展開の形で再考察し、最大地震応答の3、4次モーメントを精度よく算出する方法を導出する。 3). 高次モーメントに基づく耐震信頼性指標の導出。高次モーメントに基づく標準正規変換を一つの確率変数としての耐震信頼性における動的限界状態関数に適用し、信頼性指標または破壊確率と高次モーメントの関係を解明し、その関係を用いて構造耐震信頼性解析の高次モーメント法を構築する。 4). 分布形が分からない確率変数の取り入れ。分布形が分るかどうかによって確率変数を二つのグループに分け、分布形が分る確率変数に対してこれまでのRosenblatt変換を適用し、分布形が分らない確率変数に対して既に開発された高次モーメントに基づく標準正規変換を適用する。それらをこれまでの評価手法に取り入れ、分布形が分らない確率変数を考慮した構造耐震信頼性評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度直接東日本大震災の地震データを使用している。他の地震データの整理は次年度に移すため、経費も次年度に移すようになっている。次年度では確率変数の統計データを整理することなどに当たって、大学院生に協力してもらうための謝金も計上し、研究成果の発表及び国際発信も重要と考えており、国際学会に参加するための国際旅費も計上する予定である。
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