2013 Fiscal Year Research-status Report
地域の特性を反映できる伝統木造軸組耐震性能評価法の開発
Project/Area Number |
24560700
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
後藤 正美 金沢工業大学, 環境・建築学部, 教授 (40170469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 督 金沢工業大学, 環境・建築学部, 教授 (30367445)
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Keywords | 木造住宅 / 構造特性 / 耐震性能 / 評価法 |
Research Abstract |
日本各地には地域に根ざした多くの伝統木造建物があるが、いままでは建築プランや外観などの調査が主であり、耐震性能を評価するための耐震要素の情報がほとんど無い状況である。本研究の目的は、日本各地に存在する多種多様の伝統木造建物の耐震要素を抽出し、系統的に分類整理し、その耐震性能や耐震抵抗メカニズムを実験的に明らかにする。それらの情報(実験データや耐震性能、評価式など)を実務者に提供することにより伝統木造建物の耐震設計に貢献することである。平成25年度は、各耐震要素の耐震性能評価実験:耐震要素の部材寸法や木組をパラメータとして実寸試験体を作成し、静的水平加力を行い、耐震性能と耐震抵抗メカニズムを明らかにすることを目的に、24年度に実施した高山市域の木造建物の構造要素を抽出し、実大の壁を再現し、その力学特性を実験により明らかにした。実験で得られた結果と構造詳細調査結果に基づき、高山市域に建つ木造住宅の耐震性能評価法を検討した。現行の限界耐力計算では建物のねじれを評価することはできないので、建物をゾーニングして3分割して限界耐力計算することで、耐震性能を評価する簡易耐震性能評価法を提案した。個別要素法を応用した既存の解析ソフトを適用して、高山市域の木造建物を地震応答解析し、その結果と提案した簡易耐震性能評価法の結果とを比較し、その妥当性を検証した。 次に、近代和風建築が多いと予想される鎌倉市を対象に長谷地区の悉皆調査を行うとともに、近代和風建築の事例として、2棟の建物の構造詳細調査を実施し、鎌倉市域の木造建物の特徴を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに金沢市、高山市、鎌倉市の各地域の木造建物の構造的な特徴を明らかにするとともに、構造要素の実験を実施し、それらの力学的な特性を明らかにしたこと。また、限界耐力計算を適用して、建物の耐震性能を簡便に評価できる方法を提案できたことで研究計画通りに進んでいると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度は、倉敷市の悉皆調査と詳細調査を検討している。金沢や高山は街屋的な特性を有しており、木造の軸組と土壁・板壁が主な構造要素であったが、倉敷市の木造建物は、街屋型の他に土蔵を改良して住宅として使われている場合もあり、土壁のバリエーションを検討する必要があると考えられる。 土壁の壁厚の影響を検討するとともに、3年間の研究の総括を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試験体作成費で見積もりよりも、若干の値引きがあったため。 倉敷市の調査を実施するために使用を予定している。
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Research Products
(9 results)