2013 Fiscal Year Research-status Report
浮屋根と液体の非線形性を考慮した大型液体貯槽の地震時スロッシング理論の実用化
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24560702
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Research Institution | Nagoya Industrial Science Research Institute |
Principal Investigator |
松井 徹哉 公益財団法人名古屋産業科学研究所, その他部局等, 研究員 (70023083)
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Keywords | 浮屋根 / スロッシング / 液体貯槽 / 長周期地震動 / 非線形振動 / 耐震補強 |
Research Abstract |
本研究は,平成20年度~平成23年度科学研究費(課題番号20360256)により実施した「浮屋根と液体の非線形性を考慮した大型液体貯槽の地震時スロッシング理論の体系化」に関する研究の成果を実用化に向けて発展させることを目的としたものである。 具体的には,以下の4項目について研究を行う。(1)これまでに開発してきた液体の運動をポテンシャル理論の解析解で表現し,浮屋根(液面)のモデル化に有限要素法を適用する結合解法を,浮屋根を実物により忠実にモデル化することにより改良し,浮屋根の非 線形領域における座屈・崩壊過程の追跡を可能とする高精度のスロッシング解析プログラムコードを開発する。(2)開発したプログラムコードを用いて,浮屋根と液体の非線形性に起因する非線形振動モードの発生と2003年十勝沖地震で多発したシングルデッキ型浮屋 根の損傷・沈没事故との因果関係を明らかにする。(3)改正消防法告示に定める浮屋根応力評価式の妥当性を検証し,代替評価式を提案する。(4)長周期地震動に対する浮屋根の効果的な耐震補強法を提案し,補強の効果を検証する。 平成24年度には,プログラムコードの開発に集中的に取り組み,シングルデッキ型浮屋根の箱型断面のポンツーンを伸び・曲げ剛性の等価な弾性均質平板要素でモデル化していたこれまでのプログラムコードに代えて,シェル要素を立体的に組み合わせて箱型断面や仕切り板を実現し,補強材を偏心はり要素でモデル化した高精度のプログラムコードを開発した。 平成25年度には,このプログラムコードを用いて,2003年十勝沖地震で被災したシングルデッキ型浮屋根貯槽の地震応答解析を行い,浮屋根と液体の非線形性に由来する非線形振動モードの発生が,浮屋根の損傷・沈没事故の原因とされているポンツーン上下リブ板の座屈破壊を誘発する要因となることを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
解析モデルの精緻化に伴い,計算に要する時間が飛躍的に増加し,プログラムの効率化に予想外の労力と時間を費やしたため,本研究の最終目標である浮屋根の効果的な耐震補強法を提案できるまでには至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終目標である浮屋根の効果的な耐震補強法の提案と補強効果の検証に全力を傾注する。補強法としては,ポンツーン断面の補強のほかに,非線形振動モードの抑制効果が期待できる内部デッキの補強を検討し,開発したプログラムコードを用いて補強の効果を検証する。入力地震波としては,2003年十勝沖地震苫小牧波等の既往の観測長周期地震波に加え,南海トラフ巨大地震で想定されている模擬長周期地震波を採用する。研究の成果を報告書としてまとめる。
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Research Products
(1 results)