2014 Fiscal Year Annual Research Report
浮き上がり許容建築構造の地震時損傷低減効果と必要耐力に関する基礎研究
Project/Area Number |
24560707
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Research Institution | Building Research Institute |
Principal Investigator |
石原 直 独立行政法人建築研究所, 建築生産研究グループ, 主任研究員 (50370747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小豆畑 達哉 独立行政法人建築研究所, 国際地震工学センター, 上席研究員 (00251629)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 構造工学・地震工学 / 制震 / 浮き上がり / 損傷低減 / 振動台実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
浮き上がり許容建築構造では塔状比(幅に対する高さの比)が大きくなるほど上部構造への負荷は減少して大地震に対しても弾性に留まるようになる。現実的に多い中程度の塔状比の建築物を考えると、浮き上がり後に損傷(塑性化)を被る可能性が高いが、損傷の程度は軽減される可能性も考えられる。本研究では現実的に多い中程度の塔状比を主対象として浮き上がり後に上部構造に損傷(塑性化)を被る場合について検討し、過度の損傷を避けるために浮き上がり許容建築構造に設定すべき適切な耐力、すなわち必要耐力を塔状比等のパラメータに応じて整理することで、基礎的な技術資料としてとりまとめることを目的とする。 平成26年度は1層モデルを対象とした理論及び振動台実験による検討と、多層建築物を対象とした数値解析による検討を行った。理論による検討では、(1)浮き上がり状態での弾性除荷による高次振動が顕著に現れること、(2)浮き上がり開始レベルよりも少し大きな耐力とすることで基部固定に比べて塑性率を大幅に低減しうること、等を明らかにし、(3)自由振動において浮き上がりを伴う上部構造の塑性率をエネルギの釣合いから定式化した。また、振動台実験では、(4)上記(1)の高次振動は地震応答実験でも発生することを確認したほか、(5)入力地震動が大きくなっても塑性率は一定の値に留まる傾向があること、(6)上記(3)の値は実験での地震時塑性率の上限的な値となること、等を示した。また、数値解析では、(7)1層と同様に多層建築物でも各層の塑性率は浮き上がりによって低減されること、(8)1層の実験と同様に入力地震動が大きくなっても最大変形(塑性率)は一定の値に留まる傾向があること、等を確認した。以上から、浮き上がり許容構造における損傷(最大変形)を基部固定に比べて大きく低減するためには、塔状比に応じた浮き上がり開始レベルに対して多少割り増した耐力を確保すればよいことを明らかにした。
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