2012 Fiscal Year Research-status Report
冷設什器と空調機器の相互影響を考慮した食品小売店舗設計に関する研究
Project/Area Number |
24560712
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
鳴海 大典 横浜国立大学, 環境情報研究院, 准教授 (80314368)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 小売店舗 / エネルギー消費量 / 冷設什器 / 熱収支 / 消費者選好 / アンケート調査 |
Research Abstract |
1.食品小売店舗におけるエネルギー消費詳細計測:食品小売店舗において用途(機器)・時刻別のエネルギー消費量に関する詳細計測を行なった。対象店舗は典型的な中型食品スーパーと小型コンビニエンスストアとした。得られた結果については、冷設什器と空調機器の相互影響を考慮した店舗全体のエネルギー消費予測モデルを構築する上で、冷設什器の冷凍機に関する効率特性(負荷率や外気温による依存性)や照明・コンセントなどの内部負荷パターン、冷設什器の形状の違いがエネルギー消費特性に及ぼす影響の把握、さらには再現精度の比較検証データとして用いる。 2.冷設什器の熱負荷構造把握のための熱収支詳細計測:冷設什器のエネルギー消費予測ならびに空調エネルギー消費への影響評価を行なうためには冷設什器内部の熱環境特性(熱・気流)や熱収支を詳細に把握するとともに、冷設什器周辺の熱環境に及ぼす影響の把握が不可欠であることから、これらに関する詳細計測を行ない、冷設什器のエネルギー消費予測モデルを開発する際の基礎情報として活用した。対象店舗は上記1と同様の店舗を用いた。 3.店舗省エネ活動に対する消費者意識に関するアンケート調査:店舗における省エネ対策については消費者選好(受容)を考慮していないのが実情であることから、消費者がどのように店舗での省エネ対策を意識しているかを明らかにするためのアンケート調査を実施した。省エネ対策が消費者の店舗選びに影響を及ぼす程度や対策の認識、省エネ効果に関する情報提供が店舗選択に与える影響などについて調査を行なった。対象は来店者200名とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.食品小売店舗におけるエネルギー消費詳細計測:エネルギー消費計測に関しては、申請書では大規模店舗での調査についても検討していたが、昨年度の実績では対象店舗は典型的な中型食品スーパーと小型コンビニエンスストアのみとした。これは調査協力事業者との調整が不調に終わったことによるものであるが、本研究では特に冷設什器におけるエネルギー消費特性の把握や空調との協調制御を主たる検討項目としており、日用品や衣料品などの販売フロアーについては相対的に構造が単純であり、大規模店舗での調査を実施せずとも問題はないと考えている。 2.冷設什器の熱負荷構造把握のための熱収支詳細計測:冷設什器の熱収支計測に関しては、上記1と同様の店舗を対象に実施した。今回の計測は、実稼働店舗において実運用時を対象に行なっている。しかしながら、什器の熱収支構造は設定温度や庫内商品の陳列状況、周辺環境条件などによって大きく変化するため、時々刻々の使われ方について詳細な情報が得られない現場実測では、分析を行なう上で若干の困難を生じている。そこで、次年度には什器メーカーの協力を得て、周囲条件を統制した上で熱収支状況を把握する実験室実験を実施できるように現在調整を進めている。 3.店舗省エネ活動に対する消費者意識に関するアンケート調査:アンケート調査に関しては、申請書段階では当初計画していない検討事項であるが、省エネ対策について消費者選好を考慮することは、省エネに対する理解を得るためにも重要であり、来店者200名を対象として試行的に調査を行なったものである。得られた結果を基に、次年度はより多くの来店者や従業員を対象に改訂されたアンケート調査を実施し、来客・従業員に与える影響などを総合的に判断した上で、省エネルギー対策に関する採用優先順位の決定や運用マニュアルの作成に資する情報を得たいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度については主に以下の3つの項目について検討を予定している。 1.冷設什器と空調機器の相互影響を考慮したエネルギー消費予測モデルの構築:前年度の詳細計測結果を基にして、申請者らが既に開発した建物空調熱負荷予測モデルと新たに開発する冷設什器熱負荷予測モデルを連成計算することにより、冷設什器と空調機器の相互影響を評価可能とする店舗全体のエネルギー消費予測モデルの開発を行なう。本モデルを開発する上で重点課題として挙げられるのは、冷設什器の冷凍冷蔵負荷の予測と冷気漏れ量(エントレインメント量)の予測であり、これらについては実運用状況下で什器形状(開放多段、扉付閉鎖多段、平型など)や庫内温度(冷凍・冷蔵)、店舗条件(開店時・閉店時)別に整理した詳細計測データを基に評価する。 2.食品小売店舗のエネルギー消費再現と省エネルギー対策の定量評価 1で開発したエネルギー消費予測モデルを用いて、前年度に詳細計測を行なった店舗全体のエネルギー消費特性(量や変化パターン)の再現を試みる。予測結果と測定結果の比較検証に基づき、予測モデルのパラメータチューニング等の改良を行なうことで再現精度の向上を図る。このリバイスモデルを用いて様々な省エネルギー対策の効果について定量的な検討を行なう。 3.店舗省エネ活動に対する消費者意識に関するアンケート調査:冷設什器に係わる諸問題を中心に対応した省エネルギーイノベーションモデル店舗のあり方について提案する上で、来店客や従業員の省エネ対策に関する選好や受容意識を把握しておくことが重要であることから、前年度の試行調査をベースにより大規模なアンケート調査を実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度は調査協力事業者との調整が不調に終わったことから、エネルギー消費詳細計測の対象店舗数が想定よりも減る結果となった。このため、計測装置の購入数が当初想定よりも減ったことから482千円ほどの繰り越しを生じた。今年度はこの繰越金と合わせて合計1,282千円の使用を予定している。 1.冷設什器と空調機器の相互影響を考慮したエネルギー消費予測モデルの構築:本項目に関しては、引き続き事業者の協力を得て年間データの取得を達成すべく、詳細計測に測定装置の購入や計測現場(兵庫県および大阪府)までの旅費、データ整理に掛かる謝金等が必要となる。また、測定により取得した膨大なデータの管理や、エネルギー消費予測モデルの開発、現況再現、省エネルギー対策評価を行なうためには、専用のサーバー(ワークステーション)の購入を必要とする。 2.食品小売店舗のエネルギー消費再現と省エネルギー対策の定量評価:本項目に関しても1と同様に、引き続き事業者の協力を得て年間データの取得を達成すべく、詳細計測に測定装置の購入や計測現場(兵庫県および大阪府)までの旅費、データ整理に掛かる謝金等が必要となる。また、メーカーの協力を仰ぎ、実験室実験による什器熱収支計測を行なう体制を整えており、これに関しても実施の運びとなれば同様の費用が必要となる。 3.店舗省エネ活動に対する消費者意識に関するアンケート調査:本項目に関しては、今夏に大規模なアンケート調査の実施を予定しており、調査票作成・郵送などの実費や作業に掛かる謝金、現地配布のための旅費(兵庫県および大阪府)が必要となる。
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Research Products
(1 results)