2012 Fiscal Year Research-status Report
スリット状建物開口部のための機械学習型アクティブ騒音制御手法
Project/Area Number |
24560719
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
穴井 謙 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10325467)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アクティブ騒音制御 / 建物開口部 / 機械学習 / 制御位置 / 到来方向の判別 |
Research Abstract |
本研究では,与えられた年限(3年間)で次の3つの課題に取り組む。(1) スリット開口部のための機械学習型ANC手法の考案,(2) スリット状のANC開口ユニットの設計,(3) ANC開口ユニットの試作,および実証実験である。 初年度の平成24年度は,課題(1) に取り組み,FDTD法による3次元の数値シミュレーションプログラムの基礎コードを記述した (1-A)。さらに,最終的に提案するANC開口ユニットの実用性を高めることを意図し,より大きな制御効果を得るための,建物開口部のANCシステムにおける適切な制御位置の検討 (1-B),および,ANCシステムを安定動作させるための,騒音の到来方向の判別手法の検討 (1-C) を,円筒形の住宅換気口を想定して行った。 (1-A) については,記述したコードで,建物開口部周辺の音場をシミュレーションできることを,パーソナルコンピュータで確認した。(1-B) では,制御位置によって制御効果が大きく異なること(約8 dB)を実験的に検討し,対象空間の音場を踏まえて適切な制御位置を設定することが重要であることを明らかにした。そして,道路交通騒音のような広帯域な騒音を制御するための適切な制御位置の論理的な設定手順を提案した。(1-C) では,制御対象としていない生活音がANCシステムに混入すると動作が不安定になる恐れがあるため,制御効果に対する生活音の影響の抑制に注力した。2つのマイクロホン間の相互相関を利用して音の到来方向を判別する手法を実験的に検討し,開口部周辺のような複雑な音場では,マイクロホンの設置位置を吟味する必要があることを明らかにし,2つのマイクロホン間の距離を踏まえて正答率を上げるための工夫を施した判別手法を提案した。 なお,(1-B) と (1-C) の研究成果は,日本建築学会九州支部研究発表会で公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の平成24年度は,課題(1) スリット開口部のための機械学習型ANC手法の考案に取り組み,一定の成果を上げることができた。引き続き,課題(1) を推進しつつ,併行して課題(2) スリット状のANC開口ユニットの設計にも着手する状況にある。 当初の計画どおり次年度は,新しいアルゴリズムと,スリット状の開口部の音場特性の検討を,数値シミュレーションと実物大の模型実験により推進していく。
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Strategy for Future Research Activity |
課題(1) 機械学習型ANC手法および,課題(2) 開口部の音場特性を数値シミュレーションで検討する際,パーソナルコンピュータでは検討に必要な時間長(例えば10秒間)の演算に膨大な時間がかかってしまうことから,大型計算機の利用を計画してコードの修正を行っていく。また,本学の音響実験室に実物大のスリット開口部を設けて,課題(1)・(2) を模型実験により検討していく。 このように,本研究の推進にあたり,数値シミュレーションと実物大の模型実験に併行して取り組んでいく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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