2013 Fiscal Year Research-status Report
気候変動に適応可能な建築・設備の計画支援を目的とする将来気象データの開発
Project/Area Number |
24560720
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
曽我 和弘 鹿児島大学, 理工学研究科, 准教授 (00336322)
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Keywords | 気候変動 / 将来気象データ / 建築環境 / シミュレーション / バイアス補正 |
Research Abstract |
本研究は、気候変動に適応できる建築・設備システムの計画や設計を支援することを目的として、将来の気候変動下における室内環境や建物のエネルギー消費およびCO2排出等を予測可能にするため、気象庁の気候変動シナリオを利用して、建築環境シミュレーション に利用可能な未来の時別将来気象データを開発するものである。本年度は、主に以下の研究成果を得た。 (1)将来気象データのバイアス補正法の改善 昨年度作成した時別の将来気象データでは、気象庁の地球温暖化予測情報の気候要素のバイアスを補正する手法として、月平均値の将来変化量を算出し、それを時別気象観測値に合成する手法を採用した。本年度は、地球温暖化予測情報の日別値のバイアスを直接補 正する手法として、CDF法の効果を検証した。CDF法を用いて、1981~1990年の気象データを1991~2000年の時別気象データに変換し、年間空調熱負荷を計算した。この計算値と気象観測値に基づく年間空調熱負荷計算値の差は10%以内に収まり、CDF法によるバイアス補正効果が確認できた。そこで、本研究では、気候変動シナリオにCDF法に基づくバイアス補正を実施した後に、気候要素の将来変化量を算出し、それを時別気象観測値に合成することで、将来気象データを作成する新たな方針を得た。 (2)近未来を含む時別将来気象データの作成 上記のバイアス補正法の改善を踏まえ、気象庁の地球温暖化予測情報第8巻に基づいて、新たな近未来を含む時別将来気象データの作成に着手した。温室効果ガス排出としてSRES A1Bシナリオを想定し、2016~2035年(近未来気候)と2076~2095年(将来気候)の日本全域を対象とした時別将来気象データの作成を目標とする。現在、バイアス補正の作業段階にあり、次年度も作業を継続する計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね研究計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
地球温暖化予測情報第8巻に基づいて、新たな近未来を含む時別将来気象データを作成する。また、作成した時別将来気象データを利用して、将来の気候変動が空調熱負荷に及ぼす影響を明らかにする。
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