2012 Fiscal Year Research-status Report
震災復興に関わる広域後方支援拠点の可能性-きたかみ震災復興ステーションの実践-
Project/Area Number |
24560730
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
北原 啓司 弘前大学, 教育学部, 教授 (30177860)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 都市計画 / 震災復興 / まちづくり / 後方支援 / 事前復興 |
Research Abstract |
本研究は、東日本大震災からの復興にあたって、申請者が、北上市及びいわて連携復興センターと協議を重ね、諸学会の協力体制の下に設立した広域後方支援拠点「きたかみ震災復興ステーション」の活動をベースに、沿岸地域の復興計画プロセスで発生している諸課題を調査収集・分析し、研究成果を拠点内に蓄積し、また大船渡市および大槌町を対象として、仮設住宅団地の環境改善および将来的な転居に必要な支援を目的とした研究活動を継続的に進め、復興プロセスにおける後方支援のあり方を検討し、今後の「事前復興」に向けてその可能性と課題を明らかにするものである。 本年度は各被災地における復興計画の資料・情報収集および分析を進めるために、北は岩手県久慈市から南は宮城県山元町までの間のすべての被災自治体の復興計画について、その計画プロセスに関する情報および計画案を収集することを目標として、きたかみ震災復興ステーションに関係者をお招きして、ヒアリング調査及び資料収集を行うとともに、議論を行った。また、「東日本大震災からの市街地復興手法検討委員会」の協力を得て、各地に派遣された監理委員に対して、現地の復興プロセスに関する意見を聴取するための活動を実施した。また、自治体からの委託ではなく、独自に地域に入り復興まちづくり活動を実施している各主体に関しても情報を収集し、それぞれの活動実態及び課題、将来的な発展の可能性について「きたかみ復興サロン」で検討した。 一方で、北上市沿岸地域被災者支援プロジェクトチームを中心として実施する大船渡市および大槌町のすべての仮設住宅団地の支援員を対象として、研修を実施し、意見交換を継続的に実施するとともに、現地の住民たちによる復興まちづくり活動自体支援しながら、仮設住宅団地のマネジメントおよび環境改善のための課題を明らかにするとともに、「事前復興」にも活用可能な知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
仮設住宅団地の住民に関するアンケートについては、現地の指導もあって実施は断念し、インタビュー調査に切り替えることとしたため、統計的な処理ではなく、典型的な意見をピックアップする形態となりはしたが、各地の情報を集めることは着々と進めており、監理委員に対しての調査も都市計画学会の協力を得ながら、実施することができ、また、被災地をつなぐネットワークの構築にもつながっている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度も引き続き、各被災自治体の復興計画に関する資料収集を実施し、その成果を「きたかみ震災復興ステーション」に蓄積していくこととなる。復興現場においてやや時間的余裕が出てきたこともあり、北上市の拠点に関係者に来ていただき、議論に参加していただくとともに、連携研究者として阪神・淡路および中越大地震からの復興に深く関わってきた小浦久子氏(大阪大)、澤田雅浩氏(長岡造形大)、そして事前復興の観点から浅野聡氏(三重大)にも参画していただく。 その上で、今後の復興まちづくりに向けた課題を明らかにしていくとともに、後方支援の必要性を実証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)各自治体の復興計画監理委員に対するアンケート調査 土木学会および国土交通省の協力を得ながら、2011年度に復興計画の監理委員を担った研究者に対して、アンケート調査を実施し、復興計画の課題と現実の進捗状況について、詳細にデータを収集する。その中からその後も復興計画に携わっている委員を中心に、ヒアリング調査を実施し、当該の現地調査も合わせて行うこととする。 (2)復興まちづくり活動主体に対するヒアリング調査 24年度調査によってその存在が明らかになった大槌町「おらが大槌夢広場」および石巻市「石巻2.0」の活動を継続して調査するとともに、釜石市および大槌町に新たに誕生した新しい形でのまちづくり会社の活動について、詳細な現地調査およびヒアリングを行い、自治体を中心とした復興とは異なる形での新たな仕組みに関して明らかにする。(3)仮設住宅団地支援に関するアンケート調査 大船渡市の仮設住宅団地支援を実施する団体に対して、ヒアリング調査を実施し、仮設から本設に向かうプロセスで発生している課題や展望を明らかにして、その成果をきたかみ復興サロンで発信し、連携研究者および各復興まちづくりに関与している研究者と情報を共有しながら研究を進めていく。
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Research Products
(5 results)