2012 Fiscal Year Research-status Report
タイ住宅公団による規格分譲住宅の居住環境に関する研究
Project/Area Number |
24560731
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
田中 麻里 群馬大学, 教育学部, 准教授 (10302449)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / 住宅計画 |
Research Abstract |
本研究は、タクシン政権のもとで実施された低所得所向けに大量に建設された規格分譲住宅について、住宅地計画、住戸計画、居住地管理の視点から現状を明らかにし、住環境改善の指針を得ることを目的としている。初年度はタイ住宅公団(NHA)へのヒアリング、統計データの入手を行うとともに、バンコク周辺で最初に建設されたバーンチャロン団地において実地調査を行った。 NHAによると、2009年9月までに21万戸の大規模規格分譲住宅(BEA)が、バンコクだけでなく全国で建設されている。戸建てと二戸一、集合住宅のタイプがあり、バンコクでは集合住宅がほとんどであり、地方では戸建てか二戸一がほとんどである。地方都市で全てのタイプがみられるのはチェンマイだけであることが分かった。 バンコク周辺で最初に建設されたバーンチャロン団地には、サムットプラカン県にあり、周辺には工場などが多い。5階建て92棟の集合住宅で構成され約4000戸、人口16,000人の大型団地である。団地内には、サッカー場をはじめ市場、図書室、保育所、遊具が置かれた公園などさまざまなコミュニティスペースが設けられており、居住者もそうしたコミュニティスペースが広くとられた環境を高く評価していた。年間を通して行事も盛大に行われており、コミュニティスペースを利用したサークル活動もみられる。物理的環境のみならずソフト面においても良好な環境が維持されている
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大規模規格分譲住宅について事業全体の把握、全国での供給戸数の把握などをNHAヒアリングおよび入手資料によって明らかにすることができた。また、バンコクとチェンマイにおいて複数の団地を視察し、話を聞くことができた。そのことによってバンコクと地方で抱える問題も若干異なることが分かった。また、全てのタイプの住宅が建設されている地方はチェンマイだけであり、チェンマイで詳細調査を行うことによって、バンコクとの比較を行うことが可能であることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
全てのタイプの住宅が建設されているチェンマイを対象として、チェンマイ現地NHA事務所へのヒアリングを行い事業を実施するにあたって業者選定をどのように行ったか、建設マネージメントの方法、入居者選定プロセスなど規格分譲事業に関するヒアリングを行う。また、居住履歴やコミュニティ活動について居住者へヒアリングを行うとともに、住み方調査を含む実測調査を行う。規格分譲事業を相対的に位置づけるため、中低所得者層を対象とした居住環境整備事業による住宅地の視察も行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度には22,519円を繰り越したが、これは航空運賃・燃料サーチャージ代が当初予定よりも安価であったためである。繰り越し分も含めて次年度で有効に研究費を活用することとする。次年度以降も今年度同様に引き続き現地調査を行うため、海外旅費が多くをしめる。航空運賃および燃料サーチャージ代は予測不可能なこともあり、若干の差額が生じる場合があるかもしれない。
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