2013 Fiscal Year Research-status Report
人口動態に基づく住宅ストックの地域格差の実態とその将来的推移
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24560734
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
池尻 隆史 近畿大学, 建築学部, 講師 (10408718)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 正雄 千葉大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80110287)
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Keywords | 住宅需給 / 住宅ストック / 人口減少 / 空き家 |
Research Abstract |
本年度は2つ目の課題として設定した「人口動態別地域類型と住宅ストックの関係分析」について前年度に引き続いて分析を進めた。現状では最新の2008年の統計において、推定される住宅寿命は人口減少地帯において長期化・短期化のまったく異なる傾向を示すが、その理由を明らかにすることを目的とした。検討の結果、都市的地域においては人口や世帯の絶対数の増減あるいは構成の変化が原因の一つと考えられることがわかった。これらの変化についていくつかの類型を設定した上で住宅ストックの実態と結びつける作業に着手しており、現在は地域別の住宅ストックの特徴ならびにその将来的な推移について検討を加えている。 住宅寿命の長期化については、空家率も大きな影響を及ぼしている可能性が高い。空き家については市場在庫ではなく、いわゆる放置されている空家が住宅寿命を押し上げている可能性があり、人口・世帯の減少に比して住宅寿命が長期化している地域については、空家率の推移ならびにその実際の存続状況との比較が必要であるとの認識に至った。今年度はこれまでに視察・調査を進めている大阪や千葉また九州や東北の過疎地域に加えて、中規模の地方中心都市における空き家の実態についても調査を進めるべく、高松や松山などの四国の瀬戸内地域の都市にについても視察を行い今後の分析対象として検討を加えている。また、兵庫県洲本市を人口漸減傾向の小規模都市の典型例と位置づけ、空家の集積状況とその周囲の住宅ストックに与える影響について実態調査を進めた。 その他、GISシステムを使った住宅寿命などの諸元の実態把握・表示についても作業に着手し、データの入力体制などを整えて試験的なシステム構築を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初設定した目標についてはおおむねカバーしているものの成果については一段の深化が望まれる状況である。しかし一方で、学生等の協力を得ながらフィールド調査にも着手することができ、分析の幅が広がっているため、研究全体としてはおおむね順調に進展しているものと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度であり、若干拡散傾向にある研究成果のとりまとめに注力したい。その一方で、人口動態の類型別に地域の問題の特性とその対処方法についても検討する必要があり、具体的なフィールド調査も深める必要がある。住宅ストックの実態把握については、簡易的ながらGISの導入を試み、成果のビジュアルな表現についても検討したい。
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