2014 Fiscal Year Annual Research Report
建物改修におけるファサード・レトロフィットの方法論的研究
Project/Area Number |
24560737
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今井 公太郎 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (20262123)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 改修 / レトロ・フィット / リファイン / ファサード |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、建物改修時における外壁部の改変、即ちファサード・レトロフィットにおいて、意匠・構造・環境・法規といった多様な与条件に適合する手法を構築するために、国内外の改修事例の調査およびそのデータベース化を通じて、計画課題を明らかにし、具体的な手法を整理・分析し体系化を試みるものである。 特に、国内において需要が高まり続けている鉄筋コンクリート造の改修手法に比較的近い、国外の成熟した都市における組積造の改修事例を調査し、魅力的なファサード・レトロフィットの事例収集を行った。宮殿や城壁などの歴史的建造物を対象とする、既存の雰囲気を生かした改修が為された一連の宿泊施設群の研究では、建築物の核となる空間の再評価を行い、その空間的特徴を強化するように不要な要素を取り除きながら、機能的には公共的に開いていくという手法の存在を明らかにした。また一方で現代的な改修事例では、既存部と同じ材料を用いながら、開口部や外形で既存部と対比的な態度を持たせる手法や、開口部において既存部と新設部を立体的に重ね合わせる手法など、歴史性に対し物理的に介入していく態度の広がりを確認した。これらの手法は国内では見当たらない。 また、文献調査により得た250程度の国内事例を基に、意匠や構造などの多角的な側面をもつデータベースを構築し、統計的な調査を行った。このデータベースに基づき、復元的な性質の強いもの、新設部を既存部と対比的に扱うものなど、特徴的な改修の手法類型を抽出した。また既存建築物の構造や用途・歴史性などによって改修手法にどのような違いがあるか把握を行い、与条件と手法の相関関係の一端を明らかにした。これら国内事例の統計的調査により、既成の手法を俯瞰する視座を獲得した。
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