2012 Fiscal Year Research-status Report
建築生産における設計と施工の協調のしくみとその社会制度的背景に関する研究
Project/Area Number |
24560746
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
平野 吉信 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40355904)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦江 真人 東洋大学, 理工学部, 准教授 (10203598)
古阪 秀三 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60109030)
西野 佐弥香 武庫川女子大学, 生活環境学部, 助教 (00611336)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 発注契約方式 / 設計施工分離 / デザインビルド / 中間的形態 |
Research Abstract |
初年度の研究計画に基づき、以下の情報収集・分析を行った。 1)我が国の建築生産における多元的協働化の進展過程を理解するため、各時代の公共建築工事及び民間建築工事に適用された契約約款、標準仕様書、工事監督・監理指針等を体系的に収集し、電子情報化してストックした。また、各時代の多元的協働化の実態を示している専門団体機関誌等の文献情報を同様に収集・ストックした。これらの収集情報について、時系列的に整理・比較対象を行い、多元的協働化の大きな流れを把握した。 2)各時代における建築規制システム・契約規範の変遷過程を把握するため、国その他の建築工事の発注組織の発注・実行管理関係の諸規定を収集し、電子化して整理した。これらを時系列的に整理・比較対象を行い、特に参画する各主体の役割分担の在り方の変化を中心に分析し、大きな流れを把握した。 3)海外諸国における類似状況の把握として、他の海外調査への参加の機会を活用して、関連情報の収集を行った。予定した英・仏の情報に加え、米・シンガポールの建築規制及び建築工事契約・管理に関する諸文献の収集ができた。これらを整理・分析した結果として、各国とも、伝統的な設計施工分離方式と設計施工一貫(デザインビルド)方式との利点を組み合わせた「中間的」な発注・契約方式が急増している事態を把握することができた。 以上の平成24年度の成果の一部として、論文「設計・施工分離方式とデザインビルドの中間的建築生産方式の発展に関する一考察~英国における事例を中心に~」を取りまとめ、日本建築学会第28回建築生産シンポジウム(2012.07)で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献・情報の収集整理・電子化は、他の研究調査との連携もあり、順調に目標を達成できた。また、海外状況の把握についても、研究代表者がたまたま参画した委託調査において、副次的に情報収集を図ることができ、計画したよりも多くの諸国について、基本的情報を収集することができた。しかし、収集した情報は膨大なものであり、全体を含めた整理・分析を遂行するには至っていない。 また海外諸国の状況についても、多くの情報・文献を収集できたが、これらの収集した情報・文献のみでは完全に把握しきれない慣行その他の状況があることが判明した。これらについては、当該国に直接出向いて実務関係者にインタビュー等の調査を行う必要があると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
国内の協働化の進展・変遷課程に関しては、収集した膨大な資料を体系的に整理・分析し、時系列的な変化を正確に分析することにより、その流れを捉えるとともに、それらの変化の時代的背景となった諸状況、たとえば工事量の増減、技術開発の進展、法規範や責任体制の変化などについての情報・文献も収集し、それら相互の関係を把握・考察していく。 また、海外諸国の状況把握については、英・米を中心として、現地調査を企画し、より現実に近い情報の把握に努め、実態を反映した役割関係や発注・契約手法、管理手法等の型分類及び時代的変遷の把握を行うとともに、その背景となっている諸要因を探り、相互の関係性を理解することにより、本研究の最終目的である、設計と施工の協調のしくみの理論化の基盤を構築していくことに努める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度において、他の調査等への参画の機会を生かして情報収集等ができた部分があるため、研究費の一部を留保し、平成25年度に持ち越すことができた。この研究費を活用し、平成25年度においては、英・米両国の現地調査を企画し、文献以外により実態を反映した情報の収集にあたることとする。
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Research Products
(1 results)