2013 Fiscal Year Research-status Report
建築生産における設計と施工の協調のしくみとその社会制度的背景に関する研究
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24560746
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
平野 吉信 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40355904)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦江 真人 東洋大学, 理工学部, 教授 (10203598)
古阪 秀三 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60109030)
西野 佐弥香 武庫川女子大学, 生活環境学部, 助教 (00611336)
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Keywords | 発注契約方式 / 設計施工分離 / デザインビルド / 中間的形態 / 契約責任 |
Research Abstract |
1)我が国の建築生産における計画・管理の多元的協働化の進展過程を考察するため、平成24年度に収拾した各時代の公共建築工事及び民間建築工事に適用された契約約款、標準仕様書、工事監督・監理指針等を体系的に分析し、進展過程の実証を試みた。この成果の一部として、論文「建築プロジェクトにおける施工者の役割・責任の時代的変化に関する一考察」をとりまとめ、日本建築学会大29回建築生産シンポジウム(2013.07)で発表した。 2)各時代における建築規制システム・契約規範の変遷過程については、平成24年度に収集した、国その他の建築工事の発注組織の発注・実行管理関係の諸規定を時系列的に整理・比較を行い、特に参画する各主体の役割分担の在り方の変化を中心に分析し、大きな流れを把握した。 3)海外諸国における類似状況の把握として、新たにドイツにおける建築規制と各種専門家の関係についての現地調査を行い、特にノルトラインウェストファーレン州の実態について、詳細な情報が収集できた。また、シンガポールにおける収集情報の中で、建築規制における建築家、エンジニア、施工会社の役割・責任の割り当てと、プロジェクトの発注・契約関係との関係について、明確な関係性を把握することができた。この成果の一部として、論文「設計・施工分離方式とDesign & Build方式の中間的建築生産方式の展開に関する研究~シンガポールにおける事例を中心に~」をとりまとめ、日本建築学会大29回建築生産シンポジウム(2013.07)で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度に実施した文献・情報の収集整理・電子化は、計画したよりも多くの諸国について、基本的情報を収集することができた。今年度は、その情報の整理と分析に努めたが、収集した情報は膨大なものであり、全体を含めた整理・分析を遂行するには至っていない。 また海外諸国の状況についても、多くの情報・文献を収集できたが、海外調査機会の不足により、特に米国における民間プロジェクトに適用される法・契約規範等の収集の必要があったが、この実施に至っていない。また、収集した情報・文献のみでは完全に把握しきれない慣行その他の状況について、当該国に直接出向いて実務関係者にインタビュー等の調査を行う必要があるが、その実現には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
国内の協働化の進展・変遷過程に関しては、収集した膨大な資料を体系的に整理・分析し、時系列的な変化を正確に分析することにより、それらの変化の時代的背景となった諸状況(工事量の増減、技術開発の進展、法規範や責任体制の変化など)についての収集情報・文献も併せ、それら相互の関係を把握・考察していく。 また、海外諸国の状況把握については、不足している米国関係の情報収集を中心として、海外現地調査の機会をできる限り多く設定し、より現実に近い情報の把握に努め、実態を反映した役割関係や発注・契約手法、管理手法等の型分類及び時代的変遷の把握を行うとともに、その背景となっている諸要因を探り、相互の関係性を理解することにより、本研究の最終目的である、設計と施工の協調のしくみの理論化の基盤を構築していくことに努める。 平成25年度においても、前年度収集情報の整理・分析に時間を要したこと、および他の調査等への参画の機会を生かして情報収集等ができた部分があるため、研究費の一部を留保し、平成26年度に持ち越すことができた。この研究費を活用し、平成26年度においては、上述の通り、海外現地調査を多く企画し、文献以外の情報源により実態を反映した情報の収集にあたることとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
【現在までの達成度】欄に示したように、①平成24年度に実施した文献・情報の収集において膨大な量が蓄積できたが、その量の多さにより、全体を含めた整理・分析を遂行するには至っていないこと、②海外調査機会の不足により、特に米国における民間プロジェクトに適用される法・契約規範等の収集の必要があったが、この実施に至っていないことにより、未使用額が生じた。 【今後の研究の推進方策、等】欄に示したように、特に、海外諸国の状況把握について、不足している米国関係の情報収集を中心として、海外現地調査の機会をできる限り多く設定し、より現実に近い情報の把握に努め、実態を反映した役割関係や発注・契約手法、管理手法等の型分類及び時代的変遷の把握を行うとともに、その背景となっている諸要因を探り、相互の関係性を理解することにより、本研究の最終目的である、設計と施工の協調のしくみの理論化の基盤を構築していくことに努める。
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Research Products
(2 results)