2013 Fiscal Year Research-status Report
地域施設ストックの利用価値を人口分布と近隣ストックの状況から評価する手法の開発
Project/Area Number |
24560752
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
吉川 徹 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (90211656)
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Keywords | 競合着地モデル / 離散選択モデル / 地域施設 / 公共施設 / 仮想都市 / 最適施設配置 / 移動距離 / ロジットモデル |
Research Abstract |
仮想市街地におけるシミュレーションを通じてモデルを精緻化するとともに,最終年度に予定する実証研究のため,対象地域のデータ整備を進めた. 1 仮想市街地におけるシミュレーションを通じたモデルの精緻化 前年度のパイロットスタディの結果を受けて,仮想市街地におけるシミュレーションや新たな理論的検討によって,モデルの精緻化を図った.特に,下記の通り理論的に検討する必要がある新たな課題を見いだしたため,これを踏まえた検討を行った.(1)前年度の最終結果である,仮想都市におけるモデルの概形の整理とパイロットスタディの成果,即ち,既存建築ストックの潜在的価値を最適施設配置からの移動距離の増加分と定義できることを学会にて発表し,討論を行った.この討論およびその他の検討の結果から,新たな課題を抽出した.(2)新たな課題のひとつとして,施設利用率が距離減衰する場合の理論的検討が必要であることが判明した.このため既往研究の精査を行った結果から,離散選択モデルであるロジットモデルに基づく利用者の効用に基づいた施設位置の評価モデルを開発した.このモデルによって,施設利用率が距離減衰しない場合とする場合を統一的に論じることが可能になった.(3)地域施設の利用圏について,施設利用に掛かる負荷,すなわち施設自体を利用する負荷と施設までの移動負荷を考慮した新たな理論モデルの開発を行った.このモデルにより,従来の単純なボロノイ図による空間分割と異なる利用圏を地域施設に関して想定する必要性が見いだされた.(4)地域施設の階層性と人口密度の地域差を考慮した最適な施設配置と立体都市形態を導出した. これは,より多様なバラエティの地域施設の最適配置を踏まえた既存建築ストックの潜在的価値の議論の必要性を示唆するものである. 2 対象地域のデータ整備 過去に蓄積したデータを含めて,対象地域のメッシュデータの整備を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たに見いだされた理論的検討が必要な課題に関して,重要な進展があり,研究開始時の想定よりも多様な地域施設について評価指標を定義する可能性が見いだされた.一方で,組み合わせ最適化による解導出の手間の増大に対応する近似解法の検討に関しては,最終年度に行うこととした.
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Strategy for Future Research Activity |
実証研究とまとめ 1.実証研究 実証研究を行う.この時,前年度に得られた理論的成果とさらに解決すべき課題を踏まえて,実証研究の計画を立案する.理論的成果としては,距離減衰の有無に対応しうる評価指標を開発したこと,施設の利用圏や種類の多様化に関わる知見が得られたことが挙げられるので,それを実証研究に反映させる.すなわち,施設種類によって取り扱いが異なることを前提として,それぞれの場合に関する実証研究の枠組みを確立する.さらに本研究課題において解決すべき課題としては,効率的な近似解法の開発が挙げられる.これについては,日本都市計画学会などで従来から研究されている,地域間平均距離の精緻な近似解法を本研究課題に適用して計算の手間を削減するための検討を,特に実証研究のレベルで推進する.また,この検討にあたって,距離として実際の道路網を使用するかどうかを,計算の容易さを意識しながら,連携研究者の助言を得て整理する.この実証研究においては大規模な計算と結果の整理が必要になるため,それに対応する人件費ほか各種経費を計上する.さらに実証研究に必要なデータの追加購入を行う. 2.まとめ 実証研究の結果を受けて,結果を取りまとめ,学術論文として発表する.このため,論文掲載料,別刷り作成費用外各種経費を計上する.発表にあたっては,最近の我が国の研究の国際化への要請を踏まえて,国内外からアクセス可能な方法を検討する.このための英文校閲費等も支出を検討する.それとともに,研究成果の社会への還元のため,成果をウェブサイト等で公表し,また研究機関が地域向けに開催するシンポジウム等で発表する.このために,必要な経費を計上する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じた理由は,データの収集・入力について,学内で共通的研究基盤として整備されていたデータを活用することが可能になったことである.一方で,全国的に同一条件で最新のメッシュデータを一括導入するためには多額の経費が必要とされることも明らかになった. 次年度においては,この経費を使用し,データ整備を推進する.特に大規模なメッシュデータの導入により,実証研究の自由度を確保する.
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Research Products
(1 results)